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放送大学大学院(15) レポート2-論証方法が見えてきた時期

■修士1年の1月・・・通信制大学院の難しさが身に沁みる


修士1年の冬。1月は大学院の授業と科目履修していた学部の科目の試験に追われた。一段落したときには、既にレポート2の期日2月18日が迫っていた。当時の不安はよく覚えている。ゼミが半年開かれない。レポート2の課題がわからない。そして何より、僕自身、研究に行き詰っていた。

「大学院、それも通信制という学びの場は、自主性が第1である」とは、よく耳にしてきた言葉であるが、この意味を身を以て知る。学部と異なり、大学院の先生は放任的だ。もちろん質問すれば答えてくれる。しかし、修士論文の完成や修了までの進捗管理はしてくれない。そもそも修士論文は「新規」を切り開くものであるので、先生としても、答えを示すような指導はしないのだろう。

レポートについては、自分でスケジュールや進捗を管理しなければならない。「自主的に研究を完成させる」という思いがない限り、満足できる修士論文にはたどり着けないだろう。

■レポート2と研究課題の若干の紹介


思案した挙句、「レポート1に対する4つの疑問・指摘」に答えるかたちでまとめることとした。

(1)題名と分量


僕は「修士論文に係る論証方法について」と題し作成した。レポート1において、「論証方法がまだ確立していません」という指摘が一番重かったからである。レポートの体裁については、やはり標準フォーマットにはこだわらず、10.5pの明朝、40字×30行で作成した。このレイアウトで32枚。約22,000字である。

(2)内容


レポートの構成は、以下のとおり。

  1. 修士論文の核となる「仮説」を整理し、

  2. この論証にいたるまでのプロセスを細かく分け、各段階ごとに論証方法とその目途を書いた。

この「2」については、先生からいただいた「疑問・指摘」を意識した結果、自然とこのようなかたちになったところである。今にして思えば、レポート1への回答が僕の研究を方向づけたのだ。

(3)研究内容の若干の紹介


研究課題をざっくりいうと、自治体の公的資金助成(補助金や助成金)である。これと行政学でいう「委任の失敗」のうち、省力型の類型を絡めた話がメインだ。

(仮説)
複数の政策の選択肢を前にして、公務員(官僚)は「事務のコスト」を加味して政策決定しているのではないか。それにより、合理性を欠いた政策が生み出されるのではないか。そして、事務のコストを減らすことができる政策の際たるものが資金助成政策である、と。

(論証)
これに対し、以下のような小問と、その論証を積み上げるプロセスをレポートとした。
Q.本当に、政策課題と政策は一意的な関係ではないのか?
Q.本当に、資金助成政策の事務コストは少ないのか?
Q.本当に、客観的な合理性を欠いた資金助成政策が存在するのか?など。

(4)論証方法

論証の中心は、地方議会の議事録を分析するという方法を選択した。「客観的な合理性を欠いた資金助成政策の存在」を議事録から明らかにしようと試みた。何本か議会の議事録を読み込んでいくうちに、なんとなくキィワードに目途がつくようになる。そしたら、そのキィワードでフレーズ検索をすれば、そこそこの確度で議事録がヒットするようになるのだ。

■レポート2の評価と指導

レポート2については3月に返信をいただき、「良いレポート」という評価をいただいた。
レポート2では、意思決定論からサイモンを取り上げていたのだが、あわせてルーマンを読むように指導いただいた。概説書を読んだが、かなり難しかった訳だ。。

あわせて、4月ゼミの案内が書かれていた。

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