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手術の翌日

差額ベッド代1日千円の「準個室」に入っている。「個室」には程遠いものの、病室によくあるテレビ台の他に、引き出しや戸棚があって長期入院になる私にはありがたかった。家族が近くにいる人は、着替えや差し入れなど持ってきては持って帰ってもらっているようだが、私は誰もいないのであるものでやりくりだ。後からわかったが、ここの病室はこの準個室がほとんどで、そのほかは本当の個室と、差額ベッド代はないかもしれないがスタッフステーション直結の目の離せない患者さん用のベッドがいくつかあるだけなので、この病院ではほとんどの入院患者は、定員4人の準個室、に入っている。
 常用している貼り薬は冷蔵保管しないとならないので、冷蔵庫を使うためにテレビカードが必要だ。洗濯機代もテレビカードで払えるが、この状態では洗濯機を使うのは無理なので、洗濯サービスを利用するつもりだ(こちらは病院にまとめて払う)。5センチ四方、暑さ1センチぐらいのパックに収まっている薬のために、ずっと冷蔵庫代を払うのはなんだかなあと思うが仕方ない。
 病棟には無料のゲストWi-Fiがあり、これはとにかくありがたかった。やっとスマホのケーブルも手に入ったし、ヘッドホン、ノートPC、ノートとメモ帳も来たのでこの頃から入院中の記録やメモを残せるようになったし、ニュースサイトなども見ることができる。外部の人と連絡をとりやすくなったし、調べ物もできるようになった。
 まとまった書き物はちゃんとしたキーボードと大きな画面のPCの方が楽だ。
 メモは、ToDoや思い出して後から書いたものも混じっていて、特に手術直後の数日は出来事が前後して書いてあるようだ。
 手術前後は、頻繁に採血があった。採血の時間は早朝まだ暗いうちだ。夜勤の看護師さんの担当らしい。この時間に採血して検査に回すと、朝、医師が出勤してくる時には検査結果が出ているのだろう。

 牽引はなくなったが、左脚は思い通りにならない大きなソーセージだ。ベッドの右側に移動したい時は右脚が動くと左脚が合わせて引っ張られていくので比較的楽なのだが、左側に移動したくても左脚はどーんとそこにあるだけで、両腕で腰を浮かせてよいしょっと腰全体を左にずらして、その後両腕で斜めになった左脚の向きを真っ直ぐにする。上半身も以前のように、うまく回らない。もう少しで手が届きそうという時、以前ならもう少しグッと伸ばせば届いたものが、それができない(ちなみに右側なら右の腰とお尻が支えるので問題なくできる)。体全体をずるずると近づけてやり直しだ。うっかり無理に手を伸ばして肩や腕をひねって何日も痛みが取れなかった。
 定番のベッド位置はテレビ台と戸棚付きのパーティションのちょうど間にあったが、その位置は、どちら側にも届かないので、開け閉めが多い戸棚側にベッドを寄せてもらい、テレビ台の向きを引き出しがベッド側に向くように動かしたら、少し便利になった。

 この日の午後からリハビリが始まった。その前に(午前中だったのか、昨日の午後だったのか忘れたが)一度、主担当の理学療法士さんが脚の様子を見に病室にいらした。若い男性で礼儀正しい感じの良い人だった。
 この日はまだ点滴とか尿道カテーテルとかついていたので、車椅子に乗せてもらい、向かいの車椅子で入れるトイレまで行って、2階にあるリハビリ室にも連れて行ってもらったかな、という程度だった。私の左脚は真っ直ぐ突っ張っていて、膝が全く曲がらないので、脚を伸ばしたままで車椅子に乗れるように支えがついている。

写真:入院生活の必需品テレビカード。1枚1,000円


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