TRPGシナリオPDFをこだわらずにそこそこ楽に書く方法 -TRPGシナリオエディタとしてのLaTeX & LyX-
突然だが皆はPC上でTRPGシナリオ、特にシナリオPDFを書く時どのエディタを使っているのだろうか？私個人としてはWordが真っ先にあがる。…話が変わるのだが、主に数学系や情報系の論文の執筆・PDF作成に用いられるツールをご存知だろうか。名を「LaTeX」というのだが、知らない人の方が多いだろうと思う。
ここでは私(日守なお)が「LyX」というLaTeXにGUI(≒画面)を追加したソフトウェアでエモクロアTRPGのシナリオを書いた経験に基づき、「TRPGシナリオを書くツール」としてのこれらの特性に迫ろうと思う。
※2021/12/25追記：TALTOの正式リリースに伴い、一部の記述を修正しました。
LaTeX って何だよ & LyX って何だよ
Wikipedia先生によると、LaTeXはTeXを前身とするテキストベースの組版処理システムである。使用者視点で噛み砕くならば、ちょっと簡単なプログラミング言語っぽい文法でテキストを書いてコンパイル(≒システム実行)すると、いい感じのPDFを出力してくれるシステムである。我々使用者が記述するのはテキスト部分のみであり、記述したファイルをシステムのコマンドに渡す（或いは執筆に使用したLaTeX等作成に特化したソフトの「タイプセット」ボタンなどを押す）ことでPDFを作成する。
日本語を含むPDFを作る場合、pLaTeX、そのUnicode対応版であるupLaTeXやUTF-8ベースのXeTeX等を使うことになる。
それにユーザーインターフェース(画面とかメニューとか)をつけたソフトウェアがLyXである。本質は変わらないものの、敷居はLaTeXよりは低く感じられるだろう。LyXのエディターによる表示は作成している文書の内容とその構造（章・節や段落など）を示しており(WYSIWYM)、作成している文書自体の見た目を表示する(WYSIWYG)Wordとの最大の相違点となっている。
で、LyXの使い心地はどうだったんです？
こだわらない＆画像が多くないのであれば問題なし！
先に欠点を述べておこう。画像の挿入・幅指定等は出来るものの、細かい配置調整が基本的には苦手である。そのため、画像を併用する凝った見出しの作成に向かない。また、同様に画像自体のサイズ調整が非直感的である点、(La)TeXをベースとするためWordや代替ソフトウェアと比べPDF作成のための準備・設定が複雑な点もマイナスに作用するだろう。
逆に言うならばレイアウトの自動化は得意分野の一つであり、テキスト部分や節・段落構造が出来ているならば設定をいじるのみでいい感じにしてくれる。フォントサイズの細かい調整はできず、文字色変更などは面倒だが、テキストのみからシナリオPDFを作成する上で必要な性能は有している。
使用者がLaTeXを使用できる場合、(La)TeXをバックエンドとするLyXは更なる柔軟性を発揮する。LyX内にLaTeXのコードを記述できる為、それに応じた文書のカスタムができるのだ。例えばLaTeXの多段組パッケージと組み合わせ2段組で記述していた内容を、ある節の手前で一度段組みを解除し、改ページ後その節から再度2段組にし直すことで綺麗に改ページできる。
上述した点がLaTeX・LyXの特徴となり、シナリオを書くツールとしての最低限以上は備えているように素人である筆者は感じた。しかし、この記事を仕上げている2021年12月時点において、ただ「書く」だけでよいのであればより最適な選択肢が存在する。それが2021年12月25日に正式リリースされた「TALTO」である。
多段組などの非常に凝った文章配置はできないものの、使用のために覚えることが少なく、ただ書いてまとめて形にするだけであればこちらでよいのだ。LyXが論文や数式に適正がある点、正式リリース時に注釈ブロックが追加された点も相まって、初めて書くのであれば作成物の公開までフォローするTALTOを推奨する。
結論
LinuxでTRPGシナリオを書きたい… TALTO
Linuxで文章配置をこだわったTRPGシナリオを書きたい… LyX（ちょっととっつきにくい）
Linuxでデザイン面にも文章配置にもこだわった凝ったTRPGシナリオを書きたい… Officeっぽいソフトウェア(Libre Officeとか)
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