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【読書】 感情は腹で生まれる!? 『肚:老子と私』

60歳半ばで老子の思想に出会ったという著者。

都会生活を離れ、信州の地で過ごしはじめ、77歳で開腹手術を経て肚=腹についての新しい人間観を持ちだした、というところから話は始まり、肚の歴史や、著者の肚に対する考えが披露される。

一番面白いと思ったのが「肚こそ人格の中心を司る」ということ。

そもそも中国では古来から悲しみを「断腸の思い」と表現しており、悲しみという感情が本来は肚に宿るということを示唆している。

そして現代の日本にもその考えは生きており、
「あいつは腹の黒い男だ」
「腹を割って話そう」
「あいつは腹の中で何を考えているかわからない」
「腹を立てる」
と、腹と「感情」や「人となり」が密接に関係している。

日本人は明治以前、「胸や腹」で考えを感じとっていた。

それが「脳」で感じとるようになったのは明治以降のことで、精神のストレスは本来、頭ではなく肚にあるという考えも刺激的だ。

昔の人は自然とそういったことを感じる力があり、彼らの身体感覚には驚かされる。


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