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『ひとまず、信じない』押井守・レビュー

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』にド肝をぬかれてから、押井守監督の本をずっと読みたいと思っていました。

そしてついに手に取ったの本が、『ひとまず、信じない』です。

タイトルにインパクトがあり、まえから気になっていた本です。

一言でいうと、「ブレない自分の芯をもて」というメッセージを受け取りました。

今回は、この本から学んだ「3つのこと」をまとめたいと思います。


一番刺さったこと:ゴジラ解釈

ゴジラが大好きで、ぼくはゴジラファンを自称しています。

しかし、押井監督の以下の解釈に驚かされました。

「英霊たちが恐るべき怪獣の力を借りて、戦後の世の中に異議申し立てをしたのが、初代ゴジラなのだ」

p.177

衝撃を受けました。いままでゴジラファンを自称していたのが恥ずかしいほどに。

もしかして、この解釈は有名だったりするのでしょうか。

ゴジラが日本で暴れる理由として納得ですし、この視点でゴジラ-1.0を振り返ってみると、いろいろと腑に落ちます。

ゴジラが英霊達だとすると、過去にうしろめたい秘密をもつ主人公に怒るのも当然だし、生きのびた人達への怒りも理解できます。

映画解釈をきちんと言語化し、他の人の解釈からも学ぶ必要性を痛感しました。

クリエイターとしての矜持

押井監督は以下のように語ります。

「僕が映画をひとつ作るときは、自分の経験をなぞるだけではなく、映画という試み自体のフィールドを押し広げるようなことを目的としている。」

p.181

つまり、アニメ映画というジャンル自体の革新をもくろんでいるとのこと。

「多くの人の喜んでもらう」といった次元とくらべると、一段高い視点で語られており、クリエイターにとってはいい刺激になるはず。

また、「予告編を見れば、どんな映画かを正確に言い当てることができる。」と語り、これはクリエイターがストーリー力を鍛えるのに使えると思いました。

さっそく、妻と2か月に1回映画館にいき、その前に予告編をみて、どんな映画か当てあいっこをするというゲームをすることにしました。

優先順位をつける

さて、ここで本のタイトルを回収しておきたいと思います。

具体的になにを「信じない」のか?

おおきくわけて、以下の4つになります。

  • ハッキリとした形の幸せがあるなんて「信じない」

  • 自分にあった理想の仕事があるなんて「信じない」

  • メディアのニュースは所詮ウソなので「信じない」

  • 政治家が万能・清廉潔白であるなんて「信じない」

それではどうするかというと、「要素に分解」し、「優先順位をつける」こと。

たとえば「幸せになりたい」のであれば、そのための条件をいくつかに分解し、それに優先順位をつけます。

そして、順位の高いものに集中することで道は開かれます。

まとめ

副題が「情報氾濫時代の生き方」とあり、まさにフェイクニュースあふれる時代の、情報との接し方指南...

かとおもいきや、幸福論、仕事論、ニセモノ論、政治論、人間論、映画論の6テーマについて、押井監督が縦横無尽にかたっています。

とくに「ブレない自分の芯をもて」というメッセージを受け取りました。

具体的には、自分の視点をアップデートすること、クリエイターとしてジャンルに革新を起こすこと、人生に優先順位をつけること。

サクッと読めますが、奥は深く考えさせられる一冊です。


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