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英語を極める 『英語ネイティブ脳みそのつくりかた』 レビュー

悔しい!

高校1年生くらいの頃に、この本に出会っていれば、自分の人生は大きく変わっていたに違いない!と思わせる本に出会いました。

この本はよくある英会話の練習本でも、受験対策の本でもありません。

むしろそういった学習書は不毛である、と感じさせてくれます。

さらに、英語ができるとキャリアが広がるよ、という表面的な本でもありません。

この本から教えられるのは、もっともっとスケールの大きい、自己表現のための、身体的な英語。

英語学習のプロセスで得られる、自分の新たな人格や、英語話者として、新たに自分の人生を紡ぎ出すことの大切さを学べ、「自分らしく生きていくための英語」を身につけることができます。

この本が役に立つのは、英語ができないのに、子供たちに英語を教えなければいけないというジレンマに悩まされる現役の英語教員

そして、世界を舞台に活躍したり、英語をつかった仕事をすることに憧れはあるけれど、どうやったらそうなれるのか、イメージができないといった、未来に対して不安をかかえる高校生・大学生にも、参考になるアドバイスが盛り沢山。

さらに、グローバルで活躍するキャリアを築きたいけれど、イマイチ自分の成長につながっている気がせず、キャリアアップについて迷っている社会人の方にぜひ読んでもらいたい本です。

本書の特徴は、英語は使えてナンボ、という当たり前のことを気づかせてくれることです。

他人が考えた例文やフレーズ暗記が正攻法だと思っている人は、往々にして英語学習に失敗します。

失敗しないためには、英語能力と自分らしさを、同時に育てること。

そのためには、従来の英語学習では扱われなかった、

・教養
・学問
・問題意識
・経験
・思考
・好き嫌い
・喜怒哀楽といった感情の変化
・笑いのツボ
・趣味

といったことを、自分なりの英語で表現し、英語版の自分をつくり上げることが必要です。

「自分で自分をつくり上げる」ことは楽しく、学習を継続させることができます。

またTOEFL対策にも言及しており、

TOFELを分解して試験対策するんじゃなく、素直に「活躍している人」から逆算したネイティブ・マインドをやったほうが、点数も楽しさも総合力もついているという。

p.187

と、至極まっとうな話で、TOEICやTOEFLでいい点を取るといったことは、ただのプロセスに過ぎず、ゴールにはなりえません。

本書の第2の特徴は、英語学習におさまらず、起業家マインドにも触れていること。

誰しも問題意識を持って、何かが変わればいいと思っていることに気づかせてくれます。

本書は、その問題意識を言語化し、実際に起業のアイディアの種を見つけるための手引きをしてくれます。

考えてみると、「自らの学びを自分でつくる」ということは、「新しい世界をつくる」ということと地続きであり、英語学習と起業家マインドの親和性に気付かされます。

本書では、英語を身につけるための道筋を、ステップ1〜6に分けています。

個人的に興味深かったのは、ステップ3の英語の思考法「ロジカルシンキング」。

情報収集や情報発信のために必須の考え方で、内容を深める「反論の6ヶ条」も参考になりました。

アマゾンにて、「スポ根過ぎて参考にならない。」といったレビューもあります。

しかし、本書の大前提は「楽しくすること」という学習法で、「自分らしく」ということと、「実際につくる」ということを大切にしています。

ですので、本書の学習法を実践すれば、学習の継続に「スポ根」は必要ないのではと思います。

例をあげると、「もともとある英語の動画に、アテレコ(自分の声を入れる)をして、動画を作る」といった学習法は、まさに自分の気に入った動画を選ぶということで「自分らしく」もあり、「実際につくる」ということをしているので、楽しく続けることができます。

たしかに、すぐに使える英語学習リソースやアプリの紹介もあり、「自分らしい英語学習」の指南書にもなり得ます。

しかし、本書が教えるもっとも重要なことは、「自分らしい学びをつくりあげていく」マインドです。

人によって、何が楽しいと感じるか、はそれぞれ違うので、本書を通じ、自分はどんなことを楽しいと感じるかを問い、紹介される学習法を参考に、あくまでも”自分”で「自分らしい学びをつくりあげていく」ことが大切です。

著者の白川寧々(しらかわ・ねね)さんは、日中英のトライリンガルで、フェリス女学院中学・高校時代に独学で英語を学び、米国デューク大学に進学。

卒業後、米国大手コンサルティングファーム勤務を経て、マサチューセッツ工科大学(MIT)MBA修了というエリート。

MIT在学中に、MITの「創造しながら学ぶ」という教育理念を英語学習に取り入れ、MITソーシャルインパクト財団より出資を受けています。

そしてグローバルキャリアと日中英の3か国語能力を生かし、現在までに世界20か国、累計15,000人の学生に対してアントレプレナーシップ教育を行っています。

白川さんはオタク気質ということで、その気質を存分に取り込んだ、実践的英語習得メソッドが今回の本。

著者は問いかけます。

あなたは、どんな英語圏の住人になりたい?どんな人たちと仲間になりたい?どんな世界で活躍したい?

p.94

日本人は、世界レベルでは決して低くない学力をもっているため、英語を自由自在にあやつることができれば、世界で輝く可能性を秘めています。

そのために必要なのが「ネイティブ脳」で、本書を読むと、自然と英語に対するモチベーションを高めてくます。

なんとなく人生モヤモヤしている人にこそ読んでほしい本で、英語へのモチベーションアップだけでなく起業家マインドも育むことができる一冊でした。


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