貯蓄の「平均」と「中央値」 - 2021年
いったいどれぐらいのお金があれば安心なのか?
その質問に答えるために、やっぱり気になるのが、他の人と比べて自分はどうなのかということ。
人によって仕事も異なるので年収も違い、ライフスタイルも異なるので出費も違うことはわかっているものの、自分の立ち位置を知るためには、他人との比較が必要です。
そんな時に役に立つのが、「年令別の金融資産保有額」の平均値と中央値。
「貯金 平均」と検索をすると、さまざまなデータが出てきますが、よく参照されている統計データが金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」です。
いろいろなサイトでは、この世論調査から「年令別の金融資産保有額」を参照した、とあったのですが、具体的なデータをなかなか見つけれませんでした。
こうなったら全部みてやろうと思い、サイト上をさまよっていると、やっと見つけました。
わかりにくい場所にあったので、以下にデータ元へのアクセス方法を記しておきます。
「最新の調査結果」の
「令和3年(2021年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」か
「令和3年(2021年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」を選択
↓
「各種分類別データ」の「各種分類別データ(令和3年)」を選択
↓
エクセルファイルがあるので、クリックするとダウンロードがはじまる
↓
3枚目のシート、「金融資産保有額(金融資産保有世帯)」の世帯主の年令別の欄で、年代別の金融資産保有額の平均値と中央値
年令別の金融資産保有額
以下が、年令別の金融資産保有額の統計となります。
▼ 単身世帯(平均値と中央値)
・20代:302万円 100万円
・30代:965万円 294万円
・40代:1294万円 440万円
・50代:1675万円 675万円
・60代:2645万円 1180万円
・70代:2396万円 1380万円
▼ 2人以上世帯(平均値と中央値)
・20代:334万円 201万円
・30代:986万円 400万円
・40代:1235万円 531万円
・50代:1825万円 800万円
・60代:3014万円 1400万円
・70代:2720万円 1500万円
平均値と中央値のあいだには、大きな違いがあるので、その理由を見ていきましょう。
平均値の問題点
平均値には、「一部の特異な数字にひっぱられる」という問題があります。
たとえば、総務省統計局の「二人以上の世帯における2019年の1世帯当たりの貯蓄現在高」では、平均値を下回っている世帯が67.9%と2/3以上を占めていることがわかりました。
これは、一部の異常に高い貯蓄額に、平均値が引き上がられているからです。
このような問題を解消するために使えるのが中央値で、正確な「真ん中」を知ることができます。
格差社会と称される現代においては、平均値以上に中央値のほうが重視されるかもしれません。
中央値(ちゅうおうち)について
中央値とは、データを小さい順から並べて、全体の真ん中にくる値となります。
例えば、会社員の貯金額のデータを取り、中央値を求めてみましょう。
・300万円
・350万円
・350万円
・400万円
・1000万円
小さい順に並べると「300、350、350、400、1000」なので、中央値は真ん中の350万円となります。
いっぽうで平均値を算定すると「480万円」になり、平均をとると一番高い「1000万円」に影響されて、値が大きくなってしまいました。
中央値は、1000万円が2000万円になっても「350万円のまま」で、データの中に特異な値があったとしても影響を受けにくいです。
そして、平均値の場合とはちがい、バラツキが大きいデータの真ん中を調べる際に適した指標です。
なので、平均値が高くても、それは上位10%程度の高所得者によって平均が引き上げられている可能性があり、「年令別の金融資産」の実際の傾向をしるためには、平均値だけでなく中央値をみる必要があります。
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