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レビュー『きみがしらないひみつの三人』

最近ドイツの絵本にハマっている。

『ウサギのトトのたからもの』や『根っこのこどもたち 目をさます』を過去に紹介してきたが、お気に入りリストに新たに一冊がくわわった。

それが『きみがしらないひみつの三人』という絵本。

人が生きていくうえで生まれる感情と、頭脳の働き、体の働きというものについて語られている。

子どもから大人までそれぞれに深く語りかけており、人生と体について考えさせられる一冊だ。

ストーリー

一人の赤ちゃんが生まれた日、三人のともだちがやってきた。

以下がその三人。

・頭博士:赤ちゃん帽子の下の屋根裏部屋に
・ハートおばさん:左胸の部屋に
・胃袋おじさん:体のまん中の台所に

彼らはこどものからだの中で働きはじめた。

それからずっと、この三人の働きによってこどもは日々を暮らしている。

いつも仲が良い三人だが、たまにケンカをするときも。

そんなときは体の調子が悪くなったり、病気になったりとうまくいかないことに。

こどもは生きているかぎり、この三人を離れることのできない。

そして、人生を終えたそのあとに残るものは...

メッセージ

原題は「Der Club」で、そのまま訳すと「クラブ」であり、体のなかで起きていることがいろいろな機能の「集まり」だからだろう。

ひみつの三人が、いかにぼくたちの生活に愉快にかかわっているかをつうじて、何気ない生活の喜びを共有できようになっている。

ぼくたちは好む好まざるにかかわらず、「ひみつの三人」と付き合っていかなければならない。

何を気をつけ、どのように生きていけばいいのを考えさせられる一冊だ。

人が生まれ死んでいくまでの「頭と心と体」のふしぎなはたらきをやさしく詩的に描いており、とくに人生を終えたあとの話に心が動かされる。

イラスト

ストーリーにそえられるイラストも読者を魅了している。

作者の特徴ある風変わりなイラストは想像力をかきたてられる。

各キャラクターの本質をとらえ、愛らしいキャラクターを生き生きと描き出している。

彼の鮮やかで表現豊かなイラストをながめるだけで、ほっこりした気持ちになれる。

おわりに

短い作品だがとても奥深い。

本書は子供たちにとっての理想的なベッドタイムストーリーであり、大人にとっても人生を特別なものにする絆の重要性を思いださせてくれる作品だ。

言葉はシンプルでありながらも人生の美しさについての深いメッセージを伝えている。

魅力的な物語であり、全年齢層の読者にひびく作品で、本棚にくわえるのに最適だ。


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