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GDPってなんだっけ?23年のGDP予測にてドイツが3位に、日本は4位に転落

おどろきのニュースが舞い込んできました。

それは今年、日本がドイツにGDPで抜かれるかもしれないからです。

IMFは、2023年の日本の名目GDPがドルベースで世界3位から4位に転落し、ドイツに逆転されるとの見通しを発表。

IMFが公表した経済見通しによると、23年のそれぞれの国の名目GDPは以下となります。

日本:約4兆2308億ドル(約634兆円)で、前年比0.2%減

ドイツ:約4兆4298億ドルで、前年比8.4%増

ひとつの原因は、円安。

22年には平均1ドル=131円台に対し、現在では150円前後と大幅に円安が進行しています。

いっぼう、対ドルのユーロ相場は、円相場ほど変動していません。

経済の復習をかねて、以下、GDPってなんだっけ?についてまとめます。

名目GDP(めいもくじーでぃーぴー)とは?

そもそもGDPとは、「Gross Domestic Product」の略です。

日本語では「国内総生産」といいます。

一定期間内(1年間など)に国内で産出された「付加価値」の総額をあらわしており、国の経済活動状況をしめします。

付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、生産に必要な費用を差し引いた価値のこと。

とてもシンプルに例えるならば、付加価値とは「儲け」のことなので、GDPによって国内でどれだけの儲けが産み出されたか、国の経済状況の良し悪しを端的に知ることができます。

たとえば、パン屋さんは小麦粉を仕入れ、それをもとにパンを製造・販売しています。

最終的にできあがった「生産物(パン)の値段」から、生産に必要な費用(原材料、光熱燃料、間接費、人件費など)を引いたものが「儲け」となります。

この儲けに生産数量をかけて、すべて合計することで「名目GDP」を求めることができます。

公式でわかりやすく示すと、以下のようになります。

名目GDP = 比較年の財の「儲け」 × 比較年の財の「数量」

このように、名目GDPとは比較したい年の儲けを基準に、物価変動の調整をせずGDPを評価したものです。

実質GDP(じっしつじーでぃーぴー)とは?

これをさらに基準年と比較し、物価変動を調整し直したものを「実質GDP」と呼びます。

実質GDPによって、はじめて国の経済状態がどの程度成長できたのかが見えてきます。

生産された財の儲けが一気に2倍になったとき、名目GDPは単純に2倍になります。

しかし、経済の規模がそのまま2倍になったわけではありません。

そのため、物価変動の影響を調整した「実質GDP」のほうが、経済の実状を知るうえで重視されています。

名目GDPと実質GDPの比較

名目GDPと実質GDPでは、具体的にどのようにちがうのかを比較します。

シンプルにとらえるため、ある国の生産物が「パンだけ」という場合を考えてみます。

たとえば、パン1つ販売したときの儲けと、販売個数の推移が以下のようなケースを考えます。

・2020年:儲けが100円、販売個数は10万個
・2021年:儲けが120円、販売個数は13万個
・2022年:儲けが140円、販売個数は13万個

毎年儲けが増えているので、販売価格が上昇していると考えます。(儲けが増えた理由はリストラなどにより経費削減をしているからかもですが、いったん無視します)

販売個数は、21年のときだけ、前年と比べて3万個ほど増加しています。

名目GDPで考えると

儲けと販売個数をそのまま算出します。

・2020年:1,000万円(100円x10万個)
・2021年:1,560万円(120円x13万個)
・2022年:1,820万円(140円x13万個)

ここでは、名目GDPは毎年増えていることが分かります。

実質GDPで考えると

次に、実質実質GDPを考えてみます。

名目GDPとくらべて、儲けの変化を取り除いて算出します。

ここでは、実質GDP算出の基準年を2020年と設定し、それぞれの年の儲けを100円と統一しています。

・2020年:1,000万円(100円x10万個)
・2021年:1,300万円(100円x13万個)
・2022年:1,300万円(100円x13万個)

ここで気づくのが、21年と22年の実質GDPが同じ1,300万円ということです。

比較結果

価格上昇(物価上昇)の影響を受ける名目GDPは、物価変動の影響を調整した実質GDPよりも、その規模が大きく見えます。

たとえば2021年と2022年の名目GDPを比較すると、パンの価格が上昇した分、2022年は経済規模が拡大しているように見えます。

しかし、2021年と2022年では販売数量はどちらも13万個と変わらないため、物価変動の影響を調整した実質GDPでは、経済成長がまったく見られないことになります。

このように、モノやサービスの価格(儲け)の変動の影響でGDPの数値が変化することを避けるため、経済の成長力を知る上では「実質GDP」の方が重視されています。

まとめ

円安の影響もあるとはいえ、日本の7割弱の人口のドイツ(ドイツの人口は8300万人ほど)に名目GDPで抜かれるかもしれないというのはショッキングです。

前に中国に抜かれたときは、人口の差(中国の人口は日本の約10倍)があまりにも大きかったので「まぁ当然だよな」という気持ちでした。

しかし、人口が少ない国に抜かれるというのは意味合いがまったく異なってきます。

ドイツへの移住を考えているものの複雑な気持ちになり、ドイツが日本を抜くかもしれない現状は、円安以外に何が影響しているのか、もう少し勉強したいと思いました。

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