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私の常識とあの人の常識は違う
はらわたが煮えくりかえった。
「おい、それ非常識だろ!」
誰もいない部屋の中、ある仕事のパートナーから受け取ったメールを見て思わず叫んでしまった。
時計を見るともう17時10分だ。娘を幼稚園に迎えに行かないといけない。いつもの優しい笑顔で「おかえり〜」と言って、抱きしめるんだ。笑顔…笑顔…。
そう言い聞かせて急いで家を後にし、自転車にまたがった。
「オンオフ…オンオフ…。もう仕事の時間は終わり。これから母の時間なのよ。」
思考回路を母親モードにしようとする私の努力に反して、気づけば先ほど受け取ったメールのことばかりを考えている。
「なんでだろう。常識的に考えて、おかしいよね…私がおかしいの?いや、私は間違ってない。向こうが非常識なの。」
と、同時にある疑問が浮かび上がった。
「"常識"って何?」と。
とりあえず、信号も赤だし調べよう。
じょう-しき【常識】ジヤウ‥(common sense) 普通、一般人が持ち、また、持っているべき知識。専門的知識でない一般的知識とともに理解力・判断力・思慮分別などを含む。「―のない人」
広辞苑先生によると、そういう意味らしい。
「ふーん。そうなんだ。普通ね。なるほどね〜」
でも、待って。普通って何なんだって。誰が決めるんだって・・・
考えれば考えるほどわけが分からなくなりながら、炎天下の中汗だくになった私は幼稚園にいつの間にか辿り着いていた。
園庭で汗だくになって駆け回っている娘が私を見つけて、
「マミィィィぃぃー!!!!」と、でっかい声で叫んできた。
娘は、シンガポールの現地の幼稚園に通っている。多民族国家であるシンガポールらしく国際色豊かな環境に触れさせたい、幅広い価値観に触れさせ、多様性を受け入れられるようになってほしいと思って入れさせたのだ。
頭に巻いたスカーフ(ヒシャブ)が可愛いイスラム教徒の先生と仲良く手を繋いで私の元に来た娘を見てふと気づいた。
私の常識とあの人の常識は違う。
国が違えば、文化や習慣、価値観、そして常識も違う。
日本人同士だって、常識にズレがあることだってあるんだわ。
たかが常識が違ったからって、そんな怒る必要ない。むしろ、あの人は私を非常識と思っているかもしれない。
許そう。ってか、許して。私のことも。
ごめんね。
2歳児から今日も大切なことを気づかせてもらった。とても暑い日だった。
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