縫製の仕事をする理由

noteを投稿するにあたって、毎回テーマを考えるんですが、
スルスルと、泉のように湧き出てくるのは
ほぼほぼ愚痴。。。

愚痴愚痴愚痴。
愚痴につぐ愚痴。

お恥ずかしい。

愚痴や悪口って楽しいんですよね。。。
でも愚痴ばっかりもAREなんで。

なので今回は愚痴は置いといて、
私がこの縫製工場をしている理由を書いてみます。

そもそもうちの工場は、祖父が始めました。
当時は朝鮮特需や高度経済成長もあって、
縫製の仕事も濡れ手に粟。
じゃんじゃんバリバリ儲かった。そうです。

父が二代目として跡を継ぎ、法人化して会社を大きく・・・はなりませんでしたが、バブルも、バブル崩壊も、リーマンショックも、震災も乗り越えて、
一人で我々家族を養ってくれました。
そこそこ儲かりはしていましたが、
それ以上に苦労はしていたハズです。
が、子供の私はそんなこと知らずにのうのうと暮らしておりました。

私はというと、詳しい経緯はいつかどこかでお話しするとして、
大学を出て、よその会社で数年働き、転職も経験し、
30歳前後で実家の会社に入社します。

大学も、新卒で入社したよその会社も、その後転職した会社も、アパレル業界とは無縁でした。
何となく家の会社に興味はあったくせに、なぜかこの業界以外で生きてきた私。
素人同然です。

かろうじて、
ハローワークの職業訓練で「縫製リメイク」(服のお直しを教えるコース)を受講して付け焼き刃。
もちろん、そんなものではこの仕事は間に合いませんが、とりあえずは。

そもそも、そこまで縫製の仕事がしたかったかといえば、
それほどでも、かもしれません。
実家が鉄工場なら鉄作ってたと思うし、農家なら野菜作ってたと思います。
でもまぁそんなもんかなと。

俳優の子が俳優になったり、
医者の子が医者になったり、
縫製屋の子もまた縫製屋になったり。

そんな程度のきっかけながら、職業訓練を受講した段階から、
縫製の魅力は思いっきり感じてしまいます。

これは楽しい。
し、奥が深い。

とゆうことで訓練を終え、意気揚々と父の会社に入社するわけですが、
縫製の現場に入ることを断固拒否され、営業と生産管理の担当を命じられます。
現場に社長の娘が急に入ると、みんな気を遣って、ミスも指摘できない。と。

いやいや、縫製の楽しさ感じちゃったんですけど?

・・・しかし、父の言うことには逆らえず不本意ながらも、
専門知識ほぼゼロの私が営業として工賃を決め、生産を管理することに。
右も左も、上も下も、何もかも、分かりません。

しかも父はほぼ何も教えてくれません。
私が父に頼まれたわけでもなく、自分で会社に入りたいと言って入ったので、
懇切丁寧に教えてくれる人なんていません。

縫製現場の人に、恥を忍んで初歩的なことを聞いてまわります。
外注のおじさんにも、とんでもない質問します。

バカな質問は今しかできない。

そう自分に言い聞かせて、恥を忍んで質問の日々。
もっと恥ずかしい疑問はインターネットで。
頼れる私の師匠は、ネット検索とYoutube。
ネットがなければ、私は絶対に挫折していました。

とにかく私は日々全力で働きました。
もちろん、ツラ過ぎて仕事から目を背けた時期もありましたが。

縫製場には相変わらず入れないけれど、勉強すればするほど、
縫製の奥深さを実感します。
それと共に、下請け工場の工賃の安さや厳しさに疑問を感じるように。

こんなに技術が必要とされて、個々の鍛錬や工夫が必要で、人の手が200%かかっている仕事なのに軽んじられる。

この仕事は、昔から学歴の無い人が就いてきた仕事です。
でも地頭が良くて、根気がないとできない仕事です。。
たまたま学歴はないだけで、みんな地頭は良い人ばかりです。

学歴がないだけでこんなに頭が良くて根気のある人達が、
安い仕事をさせられるのはおかしいと、この仕事をすればするほど感じています。

みんな「好き」だけでやれています。
「好き」の搾取がすごいんです。
「逃げ恥」のみくりさんも言っていました。
「好き」の搾取反対。

このギャップをどうにかしたいと思い、
日々お客さんと工賃のお話をするのが私の仕事です。
私の提示する工賃は、この業界の常識からすれば高いと言われます。
父が出していた工賃より、かなり高いです。
毎日お客さんに嫌味言われます。

でも、このままでは日本から縫製をする人がいなくなってしまうし、
それが本当に悔しいので、
高いと言われようが、何と批判されようが、
私は 縫製工賃の底上げ を目指して仕事してます。

これが、私が縫製の仕事に携わっている理由です。

全て思い通りにはいきませんが、
少しでもこの状況が良くなればと思って働いています。


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