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036_『DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに』 / 国立新美術館

この『DOMANI』という展覧会は、文化庁による若手芸術家の研修制度の成果発表的な意味合いが強かったはずだけれど、今回は特別展という位置付け。
参加作家も著名なアーティストが多く、そして肝心の展覧会自体も強度があり、雨のせいで少しだけ逡巡してしまったものの、行って良かった。

展示最終日、雨。10:00の開場に合わせて到着したおかげで人もまばらで快適。
それにしても、普段は外国人が溢れる街、六本木。コロナウィルスの影響か静まり返っていた。

展示は『傷ついた風景の向こうに』という言葉から容易に想像される通り、2011年を一つの軸としたコンセプチュアルなキュレーション。ただ、その震災に容易に回収されてしまうような作品は一つもなく、見応えのある作品ばかり。

どの作品も素晴らしかった。作品自体がお互いに呼応していくような世界。天井の高い国立新美術館の空間の隅々にまでその空気が広がっていた。

事前情報から一番気になっていたは宮永愛子の作品。

アートを見て鳥肌が立つ、という体験がこの人生で2回あって、その一つが宮永愛子の作品だった。2016年の「古都祝奈良 -時空を超えたアートの祭典-」の作品。

その宮永愛子の作品は、スケール感も作品の世界観も圧倒的。

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6万枚もの金木犀の葉を使って作り上げた、一つの世界。2011年を跨いで完成された作品にまつわる作家のステートメントは心打たれるもので、アートはこの世の中において何を果たすべきなのか(あるいは果たさないべきなのか)について、一つの答えがそこにはあった。

そして、個人的に一番長い時間を過ごしたのが、佐藤雅晴の作品。

震災により影響を受けた様々な風景に、アニメーションを載せている映像作品。アニメーションをレイヤーとして重ねることで、背後の風景が日常ではなくフィクションに見えてしまう。でも、そのにある風景は紛れもなく、あの出来事によって作り出されたもの。
この9年の記憶と共にまるでフィクションのように扱われてしまい始めた出来事が、逆に忘れ去られることのない、色褪せることのない風景として突きつけられた気がした。

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作家は亡くなってしまったということで、とても残念… YouTubeにもアップされているのでぜひ見て欲しい作品。

他にも畠山直哉はその写真の才能を遺憾なく発揮させていたし、米田知子の作品はこの展覧会を一段上の次元にあげる役割を果たしていた。カミュをテーマにした作品が本当に好きで、再会できた嬉しさもありつつ。

今日で最終日を迎えてしまった展示だけど、多くの人の目に映ったのであれば良いと思ってしまう展示。それぞれの作家の活動にも引き続き注目していきたい。


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文学、音楽、美術、演劇、映画、と360度全方位展開のCross-culturalな日々の記録。