小学校教員志望の大学生にとっての学童補助スタッフは天職でしかない話
前回の投稿で、私が学生時代に学童の補助員をしていたことはご紹介したと思いますが、今回はその学童補助スタッフとしてアルバイトして経た学びについてお話できればと思います。
(前回の内容は『学童保育という不思議な世界へ』をお読みください。)
これは実際にアルバイトをしていて言われてきたことですが、
「学校の先生になるなら学童のアルバイトをしてた方が良いよ!」
と、先輩支援員の方からよく聞かされてきました。
当時は、子ども関係の仕事に就くことは決めていたので、
「そうですよね」
と、なんとなく返していたものです。
でも今、実際に学童経営をして、様々な学校の先生にお会いしたり、同期の教員らと語り合う中で、先に紹介した先輩からの言葉は金言となりつつあります。
確かに、教員になりたい学生、特に小学校教員を志すならば学校外の子どもの姿というものに関心を持ってほしいと切実に思います。
その思いに至る経緯をお話させてください。少し長いですけど。
なぜ教育学部の学生に学童バイトをおすすめしたいと思ったのか
学校の先生は激務に追われ、年々疲弊しているのは分かります。時に理不尽なことにも耐える先生の過酷さは幾分か伝わっています。
それでも、私が納得できない指導が一つだけ存在します。
「授業でできなかった課題は放課後にやりなさい」
「居残りしなさい」
残業制度を小学生に押し付けているかのような仕打ちです。
先生が仕事に追われていることも分かりますし、評価の側面もあるのでしょう。
でも、
「授業中に終わらせられなかった」
これが、その子の評価ではいけないのでしょうか?
この事実に対して、
「先生、お家で続きをやってきていいですか?」のような自主性を評価してあげたらよいのではないでしょうか?
実際問題、それを評価することが難しいことは分かっています。
でも、現代は学童利用をする小学生が急増しているのです。放課後事情は凄まじく変化しています。
みんなで放課後集まって遊ぶのは、もはやレアケース。たいていは、習い事、学童、部活動で放課後を埋め尽くしているのです。
だから、学校の先生には
学校外にも子どもの生活や学びの場がある
ということを知ってほしいと思うのです。
最近では、学校でも学童への理解が広がっていることを実感しています。
しかし、いまだに、高圧的な態度を取る管理職。学校ファーストで学校第一主義な校風を維持する学校もあります。
“古き良き”という言葉は私個人としてはすごく好きな言葉ですが、
古い=良いではありませんから、このように学校外の環境に理解のない教職員の割合を減らせるように、私も鋭意、放課後児童健全育成事業を全力で行っているわけです。
これが教員のタマゴである教育学部の学生さんに学童という場所を知ってもらいたい。学童バイトをお勧めしたいと思った理由の一つです。
(ちなみに、このような学校都合ばかりの小規模校からも児童を受け入れてきましたが、あまりに身勝手な対応が目立つので、対象校区から外さざるを得ないこともありました。気になる方がいれば、別の機会で書きます。)
だいぶ長くなってしまいました。。。
改めて、学童バイトをおススメする理由を4つまとめます。
学童のアルバイトをおススメする理由 4選
①子どもとたくさん関われる
子どもが好きだから子ども関係の仕事を選ぶケースが多いと思います。子どもと関わりながら楽しい時間を共有することも多いこのお仕事は子どもが好きな学生さんにはすごくお勧めです。また、すぐに始められるのが学童バイトの良いところです。
②コスパ良く稼げる
最近は処遇改善の制度も充実してきたため、時給は上昇傾向にあります。また、人手不足も深刻で、時給を上げてでも人手を欲している学童さんは多いです。学業第一ではありますが、学生バイトの労働力、特に若さゆえに体力は重宝されます。時間も比較的短いことが多いので、短時間でそれなりに報酬をもらえます。
③自分の強みを生かせる
例えば、ずっとサッカーをしてきた学生さんや絵をかくのが趣味な学生さんはすごくモテます。子どもたちにとって、運動が出来る大人、絵が上手な大人は憧れの的です。いままで、自分が頑張ってきたものを認めてもらえるのは、シンプルにうれしいものです。自分の強みを発見したい方にもおすすめです。
④学校外の子どもの姿をみることができる
教育学部であれば、必ず教育実習が4週間あります。しかし、学校で見る子どもの姿と学童で見る子どもの姿は違って見えます。学校ではお利口な子も学童ではやんちゃして怒られていたり、その逆も然り。大人しいと思っていた子が、放課後は生き生きと走り回っていたり。子どものいろんな姿を見ることが出来ます。この児童理解の観点(学校での様子と家庭や学童での様子など異なる場所で見られるその子の態度や行動等)は子どもたちと信頼関係を築く上で大きな強みとなりえます。この学びがバイトをしながら得られるのは、お金をもらって勉強ができる一石二鳥じゃないですか。
特に、最後は大きいですね。私の場合は学童にのめりこんで、起業しちゃったわけなんで。
人生何があるかわかりません。でも、
子ども関係の仕事は「教員」「保育士」だけではない。
ということを知るきっかけになったのが学童バイトでした。
学生さんが読むかはわかりませんが、少なくとも、私はこの仕事は「天職」だと思ってくれる人がもっとたくさんいると思っています。それくらいやりがいのある仕事だと自負しています。
あ、一応この仕事のデメリットも3つ紹介します。
(メリットばかりではフェアではない気がするので・・・)
①給与や待遇はイマイチ・・・
学生のバイトであれば、時給として良いかもしれません。ただ、フルタイムやこの仕事で食っていくと思ったときに、待遇が良いとは正直言えません。
学童支援員の年収=(日本の平均賃金-150万)くらいです。
実際にはそれよりも安いケースが多いです。
これは、事業所や自治体によっても変わりますが、少なくとも稼げる仕事ではありません。やりがい第一主義な仕事です。
また、非正規雇用の割合も依然高いですね。子どもを預かる時間が基本的には3時間程度なので、必ずしもフルタイムである必要が雇い主的には無いからですかね。それでも最近は、フルタイムで職員配置をすれば補助金が増額されるなどの制度を設けたりと待遇の改善に向けて取り組む風潮があります。今後に期待ですね。
②いろいろな保護者がいる
教育現場で過度な要求をする保護者、いわゆる“モンスターペアレント”が問題となってずいぶんと経ちますが、以前に比べ、より存在感が強くなっている印象があります。子どもが親ガチャという不謹慎な言葉を使い始め、注意することが増えた私ですが、学童界隈でも“保護者ガチャ”という言葉が飛び交わないか心配なくらい理不尽な保護者も確かに存在します。私は、保護者をモンスターしない運営を心がけています。そもそも、保護者と私たち支援員は協力関係ですから、敵対視する存在では本来ありません。
私は、「しっかりとした運営方針、経営基盤、職員の資質があれば、保護者はモンスターではなく強力なバディ(相棒)である」と考えています。
③異業種への転職がしにくい
これは私の考えが強いですが、学童支援員への転職は容易です。入職時にこれと言ってスキルは必要ありません。エクセルやワードはとりあえず入力できるレベルしか求められないし、ビジネスマナーや資料作成のスキルなども求められません。何より、学童支援員の資格は認知があまりないので、学童業界でしか使えません。専門性がいまだ曖昧な業界なのです。
だから、学童から別業種への転職は厳しいように感じます。
もちろん、本人の努力やスキル次第でもあります。
メリットデメリット有りますが、学童の仕事は人によっては、「天職」になるポテンシャルを秘めています。
という事を伝えて今回は終わりたいと思います。
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