新入社員を指導する上司のしくじり

コロナウイルスによって多くの企業がリモートワークに取り組む中、
ついに5月を迎える。
そう、新入社員が現場配属になる。

今年の新入社員の皆さんは、リモートワーク下で研修を受けたことだろう。
そんな未知の新入社員を受ける現場は、どう対応すれば良いのか。
今回は、私のしくじり体験から指導担当者を抱える上司の方々へお送りしたい。

こんなはずじゃなかった。OJT担当者に伝わらない想い。

この5日間OJT担当者の先輩(以下先輩)を通じた新人育成に取り組んできた。
もちろん、私自身も新入社員に接してきた。
しかし、メインは先輩が新入社員に関わる中で、育成力を身につけてもらうことである。
結論を先に述べさせてもらうと、私は失敗した。

5日間の中で一番聞いた言葉は、「どうしたら良いのかわからない」だった。
先輩には、事前に関わり方の説明もしたし、何を5日間でして欲しいのかも伝えた。
しかし、先輩からは「どう関わったらいいのかわからない」という声が響いた。

その時あなたならどうするだろうか?
もう一度関わり方を説明するだろうか?先輩の悩みを聞き、これまでの経験を語って聞かせるだろうか?

全てやったが、何も解決しなかった。
今までの業務ではこれでうまくいっていたのに。先輩にうまく伝わらない。
この時の私は、何が問題か分かっていなかった。
それは、リモートワーク下におけるコミュニケーションを甘くみていたことが原因だったことに、今気がついた。

失敗からわかった3つの分岐点

しくじりの原因をしっかり考えてみよう。
そうすることで明日からもう少し楽になるかもしれない。
今回のしくじりには、3つの分岐点が存在している。

1.先輩に業務を依頼する
今回私は、依頼をするときに口頭のみで業務の依頼をした。
先輩もメモを取っていたし、新入社員もメモを取っていたから安心していた。
その場で依頼内容の確認も行なった。一安心だ。
しかし、後から言われて、私は新入社員が依頼内容を覚えていなかったことを知った。

驚愕である。何なら、先輩も業務内容を取り間違えているということが発覚する。
どうしてこうなったのか。
それは、口頭のみでの依頼とメモを確認できないリモート下であることが大きく関わっている。

メモを取っている?安心してはいけない。
メモが正しく取れているかどうかもわからない。
リモート下における上司がやるべきことは、先輩がアウトプットの雛型を作り、
後輩に指導できるように一緒にすり合わせを行うことである。
リモート下での言語コミュニケーションを盲信してはいけない。

2.先輩からの相談を受ける
先輩が途中でSOSを出してきた。
どうやら業務がうまく進んでいないらしい。
彼は「後輩に指導したことや言った内容が3割ぐらいしか通じない」と言う。

彼は非常に優秀なビジネスパーソンである。後輩の指導はこれが初めてだが、よく気が利くし、成果も出せる人物である。

私は彼に言った「新入社員を指導しているとそう思うこともある。彼らが全部を同時にできるわけがないから、一つずつステップにしていこう。まず業務の目的やゴールを確認してみよう。その次に・・・」
私は、指導の仕方を伝えて安心した。

でも、結局先輩は最後までどうしていいのかわからなかった。
彼は最後にいう「本当に、どうしたらいいのかわからない。何を言っても聞いてもらえる気がしない。」
私は、大きな勘違いをしていた。先輩もリモート下で新入社員の様子を逐一見ている余裕なんてない。ちょっとした機微に気づくこともできない。
オフィスで指導しているのと今は違うのだ。

私がやるべきだったのは、先輩が何を見せているのかを確認することだった。
リモート下では、アウトプットイメージが全てだ。
先輩が、アウトプットイメージを持っているのか、どう体系化しているのかを確認することだった。

3.最終日のお昼
成果物が出てくる予定のお昼、何が起きたのか。
何も起きなかったのである。
成果物ができていないにも関わらず、先輩からも新入社員からも何もコミュニケーションが取られなかったのである。
私は、彼らが頑張っているのだと思った。
最後まで頑張って成果物を出すために、一緒に話をしているのだと思った。

でも、話を聞いてみると違った。
もう彼らは何をしたらいいのかわからず、止まってしまっていたのだという。
なぜ相談がなかったのか、なぜ何も連絡がなかったのか。

私と彼らの関係性は、教える側と教わる側に固定されてしまっていた。
何度か彼らから相談があったときに、私は正解を教えてはいけないと、彼らの内省を手伝い、やり方へ導こうとした。
その結果、彼らは私のことを指導する人だと固定し、私に何かをするときは成果物が出来上がってからだと考えていた。

リモート下では、コミュニケーションを取るまでにハードルが存在する。
相手の予定を確認したり、一度チャットを送ったり。
オフィスよりコミュニケーションを取ることにステップが必要になる。

それを私は理解していなかった。

しくじりから学ぶリモート下でのOJT上長がやること

先輩を通じて、新入社員を育成するとき、上司がやることは2つだ。
1.先輩がアウトプットの雛型を作り、やってみせれる指導をすること
2.すぐに相談ができる温かな関係性を構築すること
この2つを徹底的にやることをオススメする

1.先輩がアウトプットの雛型を作り、やってみせれる指導をすること
リモート下でのコミュニケーションを盲信するのをやめよう。
まずは、アウトプットイメージを明確にし続けることに注力しよう。
先輩だけで雛型が作れないなら、私たちが話しながら一緒に作ることだ。

そして、先輩がそれを使って指導ができるように、指導の仕方を明確にすることである。
やってみせ、一緒にやり、やらさせてみる。
これがリモート下の指導法である。

2.温かな関係性を構築すること
上司は、管理や指導をしようとしすぎてはいけない。
それをした途端に、相手は私たちと一緒に仕事をしなくなる。
リモート下では、彼らが誰に連絡を取るのか、どんなやりとりをするのかがクローズになっていく。
これを管理しようとすると、私のように相談がこなくなる。

大切なことは、いつコミュニケーションを取るのかを先に決め、
その場ではゆったりと話を聞くことに集中することだと思う。
そうやって、温かな関係性を作っていけると、
相手と協働する仲間になっていけると思う。
上司側が不安と向き合い続けていくことが必要である。

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