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素晴らしき要塞の日々

 社会人になると同時に一人暮らしを始めてはや4年目。もともとある程度自分のことは自分でやらせる主義の家庭で育ったため、生活の面で困ることはあまりない。それどころか、むしろ一人の快適さを思う存分に楽しんできた。

 家賃が安い地方都市で暮らしているので、一人暮らしにしては広い我が家(我が部屋?)。少ない給料の中から地道にお気に入りの家具や食器をそろえたり、動画コンテンツのサブスクに登録して映画や海外ドラマにどっぷりつかったりと、自分の空間をより快適になるように手塩をかけて育ててきた。そして、いまや自分の好きなもので囲まれた最強の要塞のようになっている。

 ある日、そんな要塞に言葉通り身を守るために籠らなくてはいけなくなった。にっくきコロナ禍の到来だ。

 それまで少ない交友関係の中で、週末や仕事終わりに遊んだりご飯を食べたりして繋いでいた人間関係が幻のように霧散した。

 もともと人間関係が激せまなうえに、必要事項以外の連絡をとらない質の私は、このコロナ禍で8割の知人と連絡が途絶えてしまった。びっくりだ。ここ1年間でプライベートの知人とは3人しか会っていない。

 …が、困ったことに、そんな人間関係でもわりと困っていない自分がいる。もともと長い時間人と一緒にいると疲れてしまう性格なので、休みの日くらい一人の時間が欲しい。

 会いたいときに連絡して、都合がつけば会う。そんな人間関係を続けていたので、合いたいときに会えない寂しさはあるものの、たまに会える楽しさもそんなに悪いものじゃないと思っていた。

 なんだけれど…という不安がふと頭をよぎる。

 先述した通り、特に困っていない。困ってはいないのだが、心配なことならある。それは、彼氏いない歴=年齢が着々と長引いてきていることだ。もうじき26歳になるというのに、人付き合い下手+コロナ禍が災いして、立派な喪女が出来上がっている。

 友達も家族も恋愛も、まったくないというのは無理だけど、こまめに連絡を取り合う関係を維持することも難しい。

 もう結婚を意識する年齢になっているけれど、人と一定以上の近さで過ごす過程を踏んでこなかったアラサー女にとっては、家庭など現実味のない舞台でしかない。

 そろそろこの居心地のいい要塞を飛び出していく時なのかもしれないが、攻めを捨てて守りに徹してきた25年間。だれか戦術を教えてくださいな。

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