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旬の野菜で心と体を満たす

 春といえば、何だろうか。私が思い浮かべるのは、歯触りの柔らかい春野菜だ。春キャベツ、新玉ねぎ、新じゃが、たけのこ、そら豆、アスパラガス、せり、etc。どれも私の好物である。シャキッパリッとした野菜の触感も勿論好ましいが、この春野菜特有の柔らかな歯触りに、「春だなあ」「良いなあ、幸せだなあ」と感じる。茹でた時の色味すら、他の季節の野菜とは違う柔らかい可愛らしい感じがする。
 私は、たけのこが大好きなのだが、今年は糠を使わずにたけのこを下茹でする方法を知ったことから、たけのこ料理のハードルが一気に下がり、若竹煮から始まり、和えもの、味噌汁、たけのこご飯、春巻きと、思う存分たけのこを味わった。夫は、千切りキャベツが大好きだ。しかも、何も味付けせずに、むしゃむしゃ食べる。普段であれば、私は何かかけたい!せめて塩昆布と和えたい!と思うのだが、春キャベツは癖が少なく柔らかいので、苦も無く美味しく頂くことができる。普段は辛くて食べられない生の玉ねぎも、この季節ものであれば水にさらさずとも、薄切りにして、上に鰹節をかけるだけで立派なごちそうだ。
 こんな文章を、春からのんびり書いていたら、スーパーにはたけのこの代わりに青梅が並びはじめ、トマトやズッキーニの値段が下がってきた。先日買ったキャベツひとたまも、持つとずっしり重く、しっかりと葉が詰まった様子。あっと言う間に夏野菜の季節に移ろっている。しまった、今年はせりを食べていないじゃないか、、!痛恨のミスに思わず天を仰いだが、また来年を楽しみに、彩鮮やかな夏野菜を、思う存分楽しむことにする。
 トマト、ズッキーニ、枝豆、茄子、オクラ、とうもろこし、茗荷、etc。夏の野菜は春野菜とは打って変わって、目の覚めるような色彩と存在感のある味と触感をしている。勿論、これらの野菜も大好きだ。特に茗荷は好物で、スーパーで安く売っているのを見つけると、心の中で小躍りしながら買い物かごに入れている。先日スーパーで見た茄子は、見るからにぱんっとハリがあり、山盛りの段ボールから弾け出そうな様子だった。つやつやの紫ボディーに誘われて、まんまと買ってしまったが、皮ごと焼くと皮の下にとろりと火が通り、なんとも美味しい焼き茄子になってくれた。
 こういう生き生きと元気な野菜を食べると、それだけでなんだか元気になったような気分になる。我ながら単純だとは思うが、このような心の持ちようも大切なのだと思う。おかげで、うだる様な真夏の暑さの中にあっても私の食欲は変わることはなく、ありがたいことに夏バテとは無縁に過ごしてきた。
 春野菜で思う存分満たされ癒された身体に、じわじわ上がる湿度や気温が容赦なく襲い掛かってきている。夏野菜をしっかり食べて、恐らく「猛暑」になるであろう今年の夏も乗り切ろうと思う。


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