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エミーナの朝(2)
親友 ナゴン 2
スマホが曲を流し始めた。呼び出し音である。ナゴンからだ。
え、いま午前三時ね。なんだろう? なんとなく疲れた気分……
「ナーチン、どうしたの?」
「う……」
「どうしたのよ、ナーチン。大丈夫?」
「エ、エミリン……、エミリンこそ、大丈夫なの?」
ナゴンは奇妙なことを話し始めた。
「昨日、エミリンと別れ、アパートに戻ったのよね。
いろいろ考える事があったので、寝たのは、深夜十二時過ぎてたと思う。
そして、ウトウトしていたとき、ドアに何かが当たる音がしたの。
なに? と思って、ドアをそっと開け見るとパンプスの片方が落ちてた。
二階通路から見下したら、駐車場にあなたが裸足で立っていたの」
エミーナ「エッ!」
「手にパンプスの片方持って、じっと私を見ていたわ。じっと……
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わたしが『エミリン、どうしたの?』
と言っても、あなたは何も言わないの。
わたしパンプスを拾って駐車場まで降り、あなたに差し出したの。
それを奪うように取ったあなたは無言でクルマに乗って行ってしまったわ」
エミーナ「……、あなた、一体、何言ってんのよ。それ、わたしじゃないでしょ! わたしは、家に居たわよ。それどころか寝てたわよ!」
ナゴンは、いったい何を言っているの? わたしがなぜ、そんなことをしなくてはならないの? それは私じゃないと叫んで、涙が止まらなかった。
ナゴン「ごめんなさい、ごめんなさい、エミリン。そうよ、あれはエミリンじゃないわよ。わたしが見間違えたんだわ。ごめんなさい、ごめんなさい」
わたしは、黙ってスマホを切った。
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玄関を出てクルマを確認した。擦り傷のついたパンプスが座席の間にあった。
運転席に座って記憶を探った。
思い出せない。眠る前のことさえ思い出せない。『きっと人違いだわ……』不安な気持ちを呑み込んだ。
トーストとホットミルクで朝食をすませた。庭に出て、射しはじめた日を浴びながら、ガーデンチェアーでボンヤリした。
ナゴンとケンカしてしまった。後悔と情けなさとで不愉快な感情がこみ上げ、涙ぐんだ。台所へ戻り、紅茶をいれた。タップリの蜂蜜を加えて、グッと飲み込んだ。
(つづく)
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