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学生サポートの役割は“サポート”だけにあらず!?中央大学のプレ入学式から考える効果的な学生サポートの活用方法。

ここ最近の大学に関わる記事でよく目につくのは、昨年できなかった対面での入学式を今年は開催できた、というもの。明るいニュースではあるのですが、感染者数は昨年より今年のほうが多く、手放しで喜べない状況ではあります。今回、見つけたのは、入学式ならぬ“プレ入学式”のリリースです。中央大学の取り組みなのですが、この時期にこういうことをするのって、すっごく効果的なように感じました。

ででんっ。取り組みの正式名称は「2021年度理工学部プレ入学式」。こちらは「女子学生のためのキャリア教育プログラム(WISE Chuo)」の一環として開催された、中央大の理工学部に入学する女子学生のみを対象にしたイベントです。入学前のプレイベントはよく見かけるのですが、「理工学部」の「女子学生」、いわゆるリケジョのみに限定して開催されるのは、ややめずらしいのではないでしょうか。

プログラムを見てみると、日本IBMの技術理事である行木陽子さんによる来賓の挨拶や「WISE Chuo」の取り組みの紹介、先輩との懇親会、さらには警視庁富坂警察署による防犯講習といったものまであり、リケジョに特化した内容になっています。大学として「あなたたちを支援し、守ります」というメッセージが感じ取れる内容になっているのではないでしょうか。

思うに、大学には、学生相談室やアルバイト紹介、ハンディキャップのある学生の支援など、実にさまざまなサポートがあります。これらサポートを一切使わずに卒業する学生も多くいます。であれば、使わなかった学生にとって、これらサポートが無駄だったかというと、そうではないと思うんですね。これらサポートがあるという事実自体が、もっと抽象化すると、「いざというときに大学がサポートしてくれる」という印象があるのとないのとでは、学生の気の持ちようは変わると思うのです。

今回の「理工学部プレ入学式」は、内容もさることながら、学部内で恐らくマイノリティなリケジョたちに、この安心感をしっかりと伝える儀式なように感じました。そして、こういった儀式を入学式と同時期にやることに意味があるのではないでしょうか。

以前、何かのメディアの記事だったか、直接お話を聞いたか、やや曖昧なのですが、近畿大学が入学式を盛大にやるのは不本意入学の学生が多くいるなか、「私たちはあなたを歓迎している」ということを伝え、前向きに大学生活をはじめてもらうためだと読んだ(もしくは聞いた)ことがあります。これと同じで、最初のタイミングに、大学としての意志を明確に伝えることは、とても大事なことように思うのです。

サポートは、いざというときにあればいいという考え方が一般的なように思います。でも、サポートの意味が、実際のサポートだけでなく、サポートがあることへの安心感でもあるのだとしたら、演出方法や伝え方によって、その効果は何倍にもふくらませることができるはずです。効果的に見せるというと、何となく大学によるコマーシャル的な行為のように受け取られそうですが(たしかにそういう面もあるかもしれませんが)、そうすることで学生たちも恩恵を受けるのであれば、心憎いまでの演出をしていいように思うのです。少なくとも、学生サポートはそれが許されるし、推奨すべきジャンル(?)なように思います。


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