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制度でも、プログラムでもない?旺盛な商品開発という近畿大学の風土は、これからの大学個性化のヒントになるか。

大学広報課の職員さんなら、だいたいがブックマークに入れていそうなサイトに「大学プレスセンター」があります。これは大学に特化したプレスリリース配信サイトで、私も毎日のぞいているんですが、なんか最近、近畿大学の商品開発のプレスリリースがすごく多いんですよね。

1月に配信されたもののみをピックアップしてみても、なんと6件もあります。おそらく秋学期がもうすぐ終わるので、学生が関わる商品開発については成果発表のタイミングなのかなと思います。

今年はコロナによって、思うように大学に通うことができなかったなかでの、この成果はすごいです。学生たちはインターンシップなどへの参加も満足にできなかったので、社会とつながる貴重な機会になったのではないでしょうか。また、そもそも学生同士が関わり合う機会が、いつもに比べて格段に少なかったので、このようなPBL型の学びは、バーチャルなキャンパスライフを兼ねていたように思います。そういう意味では、学生たちに与えられたものは例年よりも多いわけです。これは捉えようによっては、広報としての取り上げ方も例年より多彩にできるし、アピールポイントになる、ということかもしれません。

それにしても、近大はほんと商品開発が多いんですよね、繰り返しますが。大学によっては、ものづくりに活かしやすい技術を研究している特定の教員が、頻繁に商品開発を行うということがよくあります。また、農学系や芸術系などの学部は企業とのコラボが比較的やりやすいので、商品開発が他学部よりもやや多い印象があります。しかし、近大は学部に偏りなくいろんな学部で商品開発に取り組んでいるんですね。

これは近大の建学の精神が「実学教育と人格の陶冶」で実学を重視していることや、近大マグロに代表されるような社会にインパクトを与える成功事例が学内にいくつもあり、それが全学的に浸透しているからなのかもしれません。詳しいところはわからないのですが、それでも外部から見ていて、何やら商品開発を積極的に取り組む風土があるな、というのはそこそこ強く感じ取れます。

自由であったり、バンカラであったり、おぼっちゃま気質であったり、大学の風土はぼんやりとしていて、具体的な大学のウリとは直結しません。また、少人数教育の徹底、初年次ゼミの充実、キャリア教育が手厚いなどといった教育上の特徴の多くは制度によってつくられており、風土のようなあやふなものではありません。でも、近大の商品開発に積極的だというのは、制度ではなく風土っぽいのに学びや大学のウリと緊密につながっているんですね。なんかこれって不思議だし興味深いです。この裏側には、何かしらの制度があるのでしょうか。それとも、またぜんぜん違う工夫があるのでしょうか。

大学が林立している今、大学の個性化は、どの大学にとっても大きな課題です。近大の商品開発には、何かしらこの問題の解決につながるヒントがありそうです。実際のところどうなっているのか、いつか大学に直接聞いてみたいところです。

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