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オンライン授業を深めるヒントは授業外にあり?関西外大のオンラインクイズイベントに見る、抜け落ちていた視点。

大学がコロナ禍で得たものとして、最もといっていいほど大きいのはオンライン授業への理解、ノウハウ、また対応できる環境(学生側も含めて)ではないでしょうか。おそらく、オンライン授業は何らかのかたちで、アフターコロナにも残っていくのは間違いないでしょう。今回、見つけたのは、こういったオンライン授業のグッドプラクティス……ではなく、オンライン授業をより豊かにするかもしれない、そんなヒントになりそうな取り組みです。

取り上げるのは、関西外国語大学の「KGU CONQUEROR(来んか~)~Battle Royal~」。こちらは海外にいる同大学の海外協定大学の学生と、同大学の日本人学生がペアになり、Zoomを使ってキャンパス散策をしたり、クイズに答えたりするイベントです。遠く離れた海外の学生と協力しながらレクリエーションをするというのは、オンライン環境が整った今だからこそできること。さらにいうと、教育的意義みたいなものを掲げず、単純にみんなでワイワイ楽しむことに特化しているところに魅力を感じました。

オンライン授業の良さとしてよく挙がるのは、距離(や場合によっては時間)の制限がなくなること、何度も繰り返し見られること、大教室よりも質問がしやすくことなどです。一方、ネックだと言われているのは、知識の教授には向いているけれど議論には不向きであること、また人とのつながりが深まりにくいといったことです。

ということは、議論する、つながりを深めるということが、オンラインでできるようになると、オンラインの価値や可能性はさらに広がるはずです。では、それができるのはどのような授業なのでしょうか。以前、こういったことをぼんやりと考えたこともあるのですが、発想の出だしから間違っていたのかもしれません。別にこれらを授業で行わなければいけないわけでもないからです。

今回のようなオンラインイベントもそうですし、もっとこの路線を強化して、オンラインのサークル活動みたいなことをしてみると、授業とは違う可能性が見い出せるように思います。というのも、単純に授業中よりサークル活動中の方が学生たちはしゃべりやすいし、つながりだって深めやすいわけです。そもそも授業中は、授業に関係ない話ができないので、つながりを深めるのに適した環境だとはいえません。そして、つながりが深まらないと遠慮のない議論はやりにくいのではないでしょうか。そう思うと、対面の授業だと議論ができる、つながりが深められるというけど、それはゼミの飲み会であったり、授業前にしゃべっている時間であったり、そういった授業外で培ったものも加味されてのことのような気がします。

であるなら、ですよ。オンライン授業の可能性を広げるには、オンライン授業そのもののブラッシュアップだけでは足らないわけです。授業外で関係性を培う時間であったり活動が必要になってくる。つまりは、オンライン無駄話タイムであったり、オンラインサークル活動といったものが必要になってくるように思うのです。人によっては、そんなにオンラインにこだわらなくてもいいんじゃないのと言いそうです。まぁ、それもすごくわかるのですが、でも考えてみてください。いろいろな国の学生が集ってインカレサークルのようにオンライン上で、ワイワイと何かに取り組む。そこで培った関係性を踏まえて、議論や学びを発展させていく、みたいなことができると、すごく楽しそうじゃないですか? 

コロナによって世界中の大学や学生のオンライン環境が急に整ってきました。オンライン授業=知識の教授というのは、たしかに大事な一面です。でもせっかくなので、もっと広い視野でオンラインを捉えて、何かもっと面白いことができるとよりいいんじゃないか。今回の関西外国語大学のイベントを知り、ふつふつとそんな気持ちが湧いてきました。

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