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意識すると見えてくる?武蔵大学の公式サイトのリニューアルから感じた時代の変化と、大学の個性や思想。

大学に限ったことではないのですが、年度の切り替わりのタイミングで新たなウェブサイトが立ち上がったり、リニューアルされたりというのをチラホラと目にします。今回、取り上げたいのは、そんなサイトの一つ、武蔵大学の公式ウェブサイトです。見ていると、世の中の流れみたいなのを感じられて、なかなか面白かったです。

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武蔵大学の公式サイトを開けるとまず目に入ってくるのは「ゼミの武蔵」というフレーズ。これは今回のサイトのリニューアルに関わらず、折に触れいろんな媒体で訴えかけている武蔵大学のアイデンティティとも言えるフレーズです。あらためて見てみると、サイトであれ、広告であれ、ここまでドーンと出ているのは強烈ですよね。受験生や学生、それらの保護者に対して強く個性をPRできているのはもちろん、この大学の教員であれば、「これは下手なゼミができないぞ…」と気を引き締めるきっかけになるのではないでしょうか。

何かを選び取るというのは、足し算ではなく、他のすべてをそぎ取るという、思い切った引き算です。自大学の個性をここまで簡潔に、かつ具体的に言い切るのはすごく勇気がいることだと思うのですが、それを長年やり続けられているのが武蔵大学の強みだなぁと、あらためて感じました。

ユーザーの時間を尊重したコンテンツ

……と、いきなり脱線してしまいました。このサイトで面白いと思ったところは二つあります。一つは、まさにこの「ゼミの武蔵」というフレーズに下にリンクが貼ってある「1分でわかる武蔵」です。

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「1分でわかる武蔵」

大学の特色を端的に紹介するページというのは、以前からよくありました。それとどこが違うのか?というと基本は同じです。ただタイトルに「1分」という言葉を入れるところであったり、極力時間をかけずに武蔵大学の特徴を伝えようとする意志が伝わるページ構成が面白い。最初タイトルを見たときに動画なのかなと思いました。動画であれば、どれくらい時間がとられるのかがわからないため、再生時間を事前に伝えておくというのは、よく見かける手法なのですが、このページはテキストベースなんですね。なんというか、自大学のPRのためにユーザーの時間を奪うということをとても真摯にとらえた企画です。

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「1分でわかる武蔵」では、ポイントをまとめたパネルをスライドして見ることができる

変わりつつある受験生への情報提供方法

もう一つ面白かったのは、受験生に向けたアプローチです。このサイト、スマホ版だとスティッキーナビゲーションで受験生向けの情報が常に表示されるんですね。PC版とスマホ版で利用シーンや、メインターゲットを明確に分けていそうなのです。

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スマホ版サイト トップページ

このスティッキー部分に並ぶリンクに「webオープンキャンパス」というのがあります。「受験生サイト」へのリンクもあるので、webオープンキャンパスをテーマにした別サイトが設けられており、なおかつこの2つのサイトは同列で並んでいるわけです。

webオープンキャンパスのサイトをのぞいてみると、動画で大学や学部の特徴、模擬授業、学生のメッセージなどを見ることができ、まさにウェブ上でのオープンキャンパスなんですね。この手のサイトは、昨年、コロナ禍のなか、どこも急ごしらえで作成しましたが、サイトの導線のなかにしっかりと組み込まれているのを見て、これは一時的なものではなく、大学のコンテンツとして定着したんだなと実感しました。

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「Web Open Campus」

でもそう思ったのとともに、今のwebオープンキャンパスはリアルで開催していたオープンキャンパスの体験を、オンラインにどうやったら持っていけるかという視点でつくられています。これが発展していき、オンオフそこまで差のない体験ができるようになった場合、今度はリアルのオープンキャパスとwebオープンキャンパスとの差別化が行われていくのか、それともリアルのオープンキャンパスというものがなくなっていくのか、なにかプチ生存競争みたいなことが起こりそうで楽しみです。

あと最後におまけ。受験生サイトのフッターにSNSのリンクのお願いが掲載されているのですが、そこで大学公式キャラクターのシラキジくんが土下座してフォーローのお願いをしているのが地味に衝撃的でした。受験生のSNSへのフォーローの意味づけ、位置づけが、徐々に変わってきているのか、それともシラキジくんがそういうキャラなのか、これもちょっと気になるところです。

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……などなど。取り留めのないレビューになりましたが、公式ウェブサイトはいわば大学の顔。そのリニューアルからは、時代性やその大学の思想が垣間見ることができて興味深いです。とくに年度替わりのタイミングに公開されたサイトは、昨年から今年にかけてリニューアル作業が行われたのだと考えられ、コロナの影響で紆余曲折を経たのではないでしょうか。また面白いサイトがあれば取り上げていきたいと思います。

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