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カワイイだけじゃ務まらない!? 広報に新たな視点をもたらすかもしれない、自我のある大学キャラクター。

大学について調べていると、けっこうな割合で大学公式キャラクターというのが存在します。随所に大学の特長や理念が散りばめられたキャラクターは、見ているだけでも楽しめるのですが、明治大学のキャラクター“めいじろう”は、さらに一歩進んでいるようです。こういう大学キャラクターもいるのかと感心しつつ、大学広報に新たな風を呼び起こしそうでしたので、今回はこちらについて取り上げようと思います。

今回、めいじろうが何を始めたのかというとTikTokです。実際に投稿を見てみると、音楽にのせて、挨拶したり、ひとことつぶやいたり、自己紹介したりしていて、一本一本は数十秒程度ですごく短い。いわゆるTikTokのお作法に則った表現をしており、大学の具体的なPR情報はゼロです。でも、高校生たちが日常的に時間を割いている“情報の渦”のなかに、自大学とひもづいた情報を投げ込むということに、けっこうな意味があるように思いました。

TikTokで朝の挨拶をする、めいじろう(https://www.tiktok.com/@meijiro_official)

このめいじろうのTikTokには、面白いところが二つあります。一つは、アカウント。今回のTikTokアカウントの文字列が「@meijiro_official」なんですね。「@meiji_official」でも、「@meidai_official」でもない。めいじろうに特化した、めいじろうのためのアカウントなんです。今後の広報展開を考えると、大学名を入れたくなりそうなのですが、それをあえてやらなかった。なかなか思い切っているなあと感じました。

そして、もう一つは、開設の経緯です。リリースでは、めいじろうが「てぃっくとっかーになりたい」と広報課に夢を打ち明けたことがきっかけで開設することになったと書かれています。つまり、大学主体ではなく、大学がめいじろうの夢をあと押ししているんです。大学キャラクターにプロフィールが設定されていることは多いのですが、自我があって主体的に動く、というのはだいぶめずらしいように思います。

“ふなっしー”や“つばくろう”のように強烈な“なかの人”がいる場合は別ですが、そうでない場合、キャラクターに自我を持たせるのは実はすごく大変です。というのも、着ぐるみのなかに入る人は、時と場合によって変わるし、パンフレットやウェブサイトなどさまざまなツールにも活用されます。こういったなかで、キャラクターをあつかう人たちが、このキャラならこういう考えをするだろう、こういう行動をするだろうという認識を共通でもち、尊重しなくては、自我が根付いていかないからです。大学の場合、職員の部署異動が多く、担当業務も変わっていくので、こういった認識(あるいは文化)を引き継ぎつつ深めていくのは適した環境ではありません。でも明治大学の場合、それがある程度できているからこそ、今回のような展開に至ったのだと思います。

めいじろうTikTokの本当の背景はわからないのですが、キャラクターがちゃんと確立されていくと、このキャラがどんなことをしたがるのか、みたいなことも感じ取れるようになっていくのかもしれません。そして、そういう発想ができるようになれば、職員だけでは生まれないアイデアが生まれるきっかけにもなるのかもしれません。少し話がズレてしまうのですが、プロモーションのアイデアを練るときに、ペルソナを深掘りして、ペルソナ視点で企画を考えるフェーズがあります。視点を変えることで見えてくるものはたしかにあるので、深掘りして詳細までイメージできる大学キャラクターは、広報企画に深みをもたらしてくれる“イマジナリーご意見番”になる可能性があります。企画が煮詰まったときに、「めいじろうさんにも聞いてみるか」みたいな会話が日常的にでると、それはそれで毎日が楽しくなりそうです。

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