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#11 ほとりの仕事風景① 修正問題編

「添削マウント」とはなんぞや?
そういえば、会社員時代、私の企画書を真っ赤に修正したまではいいが、そのまま目の前でゴミ箱に投げ込んだあの上司さん、お元気ですか?(白目)

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先日、お仕事をさせていただいている、デイトラのマーケティング責任者である初芝 賢さん(@hatushiba_ken)のnoteに、こんな気になる記事がありました。

当該noteを読む限りでは、「一生懸命熱意を込めて添削したら、それが相手に『添削マウント』扱いされてしまった」ってことらしいです。

それを初芝さんが「ある画期的な方法」によってこの問題を解決されたことが書いてあるんですが、それは各自でじっくり読んでいただくとして。

「添削マウント」ってなんですか?
文章をよりよくしようとフィードバックしたら、それがあかんのですか?

そんな疑問を持ちつつ、過去に私が音声起こしの業務委託会社にて体験した一連の修正作業を踏まえ、原稿の「修正」が持つ意味について振り返ってみました。

1.音声起こしにおける作業工程

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在宅での音声起こしの流れとしては、ざっとこんな感じ。
①会社で音声データと関連資料を受け取る。

②自宅にて文字起こし作業。

③作成した原稿データを会社に持参し、最終チェックの後、提出。

ここで原稿に問題がなければ、業務は終了になります。しかし、修正点が多い場合は、

④会社からお呼び出しがかかり、自分の原稿を修正する。

という作業が発生します。

③で提出した原稿は、会社のプロ校正社員さんの手によって二重、三重のチェックを受けます。そして間違いが少なければ、そのまま社員さんがデータを修正して先方に提出。
しかし、間違いが多ければ、無常にも本人に差し戻されるわけです。

ただ、これって考えてみると、

データで提出

出力した紙原稿に手書きで修正指示を入れる

赤字を入れられた箇所を本人にデータ修正させる

ちゃんと直されているかを社員が再確認した後、先方に提出

となるわけで。何が言いたいかというと、「非常にめんどうくさい」ってことですよ。

2.会議録作成とは

言い忘れましたが、一般的に私がやっていた地方公共団体等の会議録は「公益社団法人 日本速記協会」が編集した「標準用事例辞典」の表記に即して作成されます。

用事例

一般的なwebライティングだと、特にお客さんの指定がなく、文章内で表記が統一されていさえすれば、「みつもり」を「見積」と表記しようが、「見積もり」や「見積り」でも問題ないかと思います。

しかし、会議録の世界では、用事例先生が指定された「見積り」と表記しないとダメ。たちまち赤で修正されるんです。しかも、名詞は「見積り」だけど、動詞になると「見積もる」だし、後ろに漢字がつくと「見積書」となるなど、覚えなければいけないことが山盛りなんですよ。

まあ、辞書1冊分の内容を丸暗記しなくても、分からない表記があれば調べればいいんですが、やっぱりいちいち調べていると原稿作成に時間がかかりすぎてしまう。だから、頻出表記はやはり覚えるしかないんですよね。

ちなみにこの用事例、令和元年12月にかなり大がかりな改訂をかましまして、辞書1冊分インプットし直しとなったときには、本当に泣きそうでした。

3.原稿作成者が修正作業を行う意味と

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はっきりいって、いくら間違いが多くとも、校正担当社員さんが直接データを修正してしまうほうが100倍早い。

なのに、なんでわざわざ時間と工数を増やしてまで、原稿を作成した本人に修正作業をやらせるのか。

それは、自分で修正することで、自分の作成した原稿が正しかったのか、あるいはどこかに間違いがあったかを正確に知ることができるから。

真っ赤にされた原稿から、校正者の意図をひとつひとつ感じとることで、自分のミス、そして今後どうすればいいかが分かるからなんです。

実際の作業では、赤字の修正指示に対して、緑色と青色とで印をつけます。これは、最初にデータ修正したときに青印を、そして修正後、出力した紙と見比べて、ちゃんと直っていたら緑印をつける。つまり二重チェックするわけです。

もちろん、その作業には時間がかかります。2時間ぐらいは普通にかかりますね。

タイミング的には、次の新しい原稿を作成している最中に、前の原稿の修正が入ってくる。だから、修正が多いと、時間のやりくりがかなり厳しくなって追い詰められる。

だからこそ思うんです。
「次こそは、絶対間違えないぞ」と。

私の場合は、一度赤を入れて修正された箇所をその場で全てメモ。家に帰ってから、エクセルの表に正解と誤答を五十音順に登録し、オリジナルチェック表を作成。

さらに新しい原稿を提出するときには、それを使って最終チェックを行うことで、「二度と同じ間違いを繰り返さない体制」をつくっています。

おわりに~真のプライドとは

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もしも、仕事をする上での「プライド」というものがあるのなら、それは決して添削、もしくは修正指示を受け入れないことではない。

修正指示を受けたら、それを修正した上でしっかりと己のものとして、次回はそこを絶対に間違えない。それこそが仕事をする上での正しい「プライド」ではないでしょうか。


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