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こんなやつもいるから大丈夫です、知らんけど

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日常の疑問や問題意識、抽象的な問いをあーでもない、こーでもないといいながら、簡潔で読みやすいエッセイにまとめます。 どうぞ、肩の力を抜いてお読みください。 きっと何か発見があり… もっと読む
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2021年2月の記事一覧

絶望的な優しさを求めて

この本は「ゆっくり丁寧に読まなければならない」と思った。 読み終えるのが惜しい『断片的なものの社会学』久しぶりに「読み終えるのが惜しい本」に出会った。路上のギター弾き、夜の街で働く女性、ニューハーフバー、元ヤクザなどへのインタビューから社会に散らばる「断片的なもの」に迫る一冊。 問題は解決されないし、結論もないけれどタイトルこそ学術書然としているが、難解な社会学の理論は一切出てこない。また本書は各章読み切りの短編集である。 そして、何よりも注目すべき点は学者が書く本にも

幸せは暴力的

無条件に「おめでとう」と言われたいのである。たとえ、その範疇にない人が居たとしたしても。 ありきたりな幸せ男女の結婚、出産、誕生日。世の中には無条件に祝福される事象がある。 だからこそ、幸せは案外ありきたりだったりもする。 だって、結婚すれば、子を授かれば、誕生日を迎えれば多くの人か無条件に「おめでとう」と思ってもらえるからだ。なんなら赤の他人さえもが祝福してくれることさえある。 外国人の私へのカミングアウト「このことは外国人の友達にしか言っていないんだ」 トルコでの

「イチゴスペシャル」は旅の合図だ

イチゴスペシャルの香りを忘れた頃、私はついに旅人となる。 少年とイチゴスペシャルあれはパンか?やケーキか?問いの矛先は「イチゴスペシャル」にある。 スーパーやコンビニで陳列される茶色いパンたちの中で、一人白い佇まいで鎮座するのが「イチゴスペシャル」である。スポンジというもはやケーキといっても過言ではない素材を使用した贅沢な一品は、とある少年の心を躍らせてならなかった。もちろん、この少年とは幼き頃の筆者である。 神格化されるイチゴスペシャルさて、子どもの頃、このイチゴスペ