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【ネタバレ】劇場版エヴァの感想文

君はもう見たか? エヴァンゲリオン劇場版:||を。

この記事ではネタバレ全開で感想を書いていく。わりととりとめのない感じで。

もしも君がまだこの作品を見ていなくて、かつネタバレを嫌悪するタイプの人間だというなら、今すぐブラウザバックをして映画館に行ってから、戻ってきておくれ。








警告はしたからな。こっからは全開で行くからな。

と言いつつ前提を書いて今一度スペースを稼ごう。

私はそこまでエヴァに思い入れがあるわけじゃない。放送していた時期はまだチャンネルの選択権がなかったころだと思う。学生時代に熱心なファンだった友人に誘われてレンタルビデオ屋で借りてきたテレビシリーズと旧劇場版の耐久視聴をしたのが初めてのエヴァだった。

面白かったし当時としては革新的だったのだろうなみたいな感想を抱いた覚えがある。世の中にはエヴァンゲリオンに影響された作品がたくさんあるし、それらに対する批評もたくさんあって、そう言うのを先に摂取していた私はああそういう批評の元ネタはこれだったんだなと思った。ようはオイディプス王みたいな父親殺しの話だ。あとは語られない設定を見せることによるファンの考察を引き出すことで云々。

あとは時々作業Vに流してたり、アマプラに入っていたから新劇場版を見てみたりそのくらいの関係だった。あとSHIROBAKOの菅野監督が出てきた辺りで改めて見たりしたかな。考えてみるとみゃーもりのアヴァンギャルドンとの距離と近しいものがあるのかもしれない。

だから、公開初日の今日劇場版を見に行ったのはたまたま町に出ることがあって時間があったからくらいの理由しかない。ネタバレを気にしてぎすぎすするのも嫌だしなと。

さて、結論から言うと見に行ったのは大大大正解だった。

この記事にピッタリなタイトルを考えたけれどもどう考えてもネタバレなので今は隠してここに書いておく。

「みんな少しずつ大人になった」

これだと思う。

えーと、どこから話そうかな。

とりあえず、今までの話をしよう。

エヴァが難解だと言われるのは作中の儀式の手順の部分が謎過ぎるからだ。それぞれの目的だけ考えればそこまで複雑な話ではない、と思う。以下は俺が劇場版を見始めたときに認識していただいたいの話だ。もしかしたら細かいところ違うかも。

そもそもの始まりは碇ゲンドウが死んだ妻に会いたいと思ったことだ。

ゲンドウがゼーレというよくわからんデカい組織に入って人類補完計画というい計画をぶち上げようとした。人類の魂を均質に混ぜ合わせることで個々人の欠けた部分をなくそうという計画、だと思われる。使徒がなんなのかとかはよくわからん。詳しい人に聞け。

その辺をゼーレとネルフとヴィレが三つ巴をしたりごちゃごちゃしたのが新劇場版だった。

まあ、この辺の細かいそれぞれの最終目的はさして重要ではなくて(重要とする見方もあるかもしれないけど)、碇ゲンドウが死んだ妻に会うために人類を次のステージに進めようとしている。それは現在の人類を滅ぼすことになる。ミサトさん率いるヴィレは反乱を起こしてエヴァで世界を救おうとしている。くらいに考えていればいいのだと思う。

話はパリから始まる。ヴィレはフランスのネルフだったかゼーレだったかの施設から機材をパクろうとしている。ここで現場を仕切っているのが伊吹マヤテレビ版で「エントリープラグ射出できません!」と何度も言っていたのが印象的なオペレーターだ。テレビ版耐久をした後に彼女が「エントリープラグ射出できました!」と叫べた時はそりゃあもう「おめでとう」だろうと言いあったのを覚えている。

が、ここは14年後の世界なので彼女は整備長として部下のけつをひっぱたきながらハッキングを試みる。なんかその強くなった感じがグッときましたね。

で、ゼーレの差し向けた妨害をマリが撃退していく場面。ここは画がすごすぎて笑った。ロボットアクションアニメの極北だと思う。動く動く。回る回る。機械もカメラもぐるんぐるん回ってどっかんどっかん爆発する。作画コスト大変だろうなって思いました。

場面代わって劇場版Qのラストからの続き。シンジとアスカとレイが死んだ町を歩いている。三人ともテレビアニメ版の時と変わらない見た目をしている。シンジは14年後に再構築されたから(だっけ?)。アスカはなんかの呪いと言っていたか。人造人間っぽいんだよな。レイも同じく序でシンジが救ったと思ったレイではなくてクローン体なので同じ見た目。

で、生存者たちの町で三人を拾うのは意外過ぎる人物。中学生時代のトウジ。今は生存者の町で委員長と結婚して医者をしているらしい。(Qの描写だと割と死んでそうだったけどな!)ケンスケも生きていて町の便利屋をしている。

この町での生活は結構尺をつかって描かれている。

町に最初に溶け込んだのは意外なことにレイだ。様々な感情を学習しながら町の中で居場所を見つけていく。いろいろと可愛い。「命令」なしで動けること。仕事をして、ご飯を食べて、子供を可愛いと思って、いろいろなあいさつというおまじないを覚える。人間になっていく。制服はファンサービスだと思う。

アスカは町に馴染まない。彼女はエヴァのパイロットだからだ。「町を守る」という役目を持っている。ただ、なんかケンスケといい感じの中になっていく。わかるしいいんだけどね。

シンジは落ち込んでいる。Qのラストでカオル君が身代わりに死んだからだ。日々湖をみてぼうっとしている。時々レイが食べ物を置いていく。その様子をアスカは物陰から見ている。この辺のアスカのツンデレムーブは起源にして頂点だと思う。

で、他にもいろいろあってレイがバッテリー切れで形状を保てなくなって液体に消えてしまってからシンジは復活する。レイから渡されたウォークマン(みたいな機械)を受け取る。

このウォークマンはシンジがゲンドウから渡されたもので、二人のつながりを象徴するアイテムですね。テレビ版でシンジが山手線っぽい環状線に乗って延々これで音楽を聴いている場面も印象的だ。

ここでシンジは父親と向き合うことを決意するのだよ。

三人にかかわっていくのはかつての同級生たち。トウジ、ケンスケ、委員長だ。シンジたちと違って彼らは14年分年を取っている。大人になっている。

いろんなことを経験したし、三人の事情もなんとなく知ってる。ケンスケたちが選択したのはそっとしておくことだった。昔は殴り合って干渉しあっていた同級生ズはそっとして支えるということも選べるような大人になっていた。

アスカの孤独もケンスケは感じてたんだろうなって思う。だから、ラストのアスカの救済はああなったわけで、ごにょごにょ。

シンジたちが前に進めたのは同級生ズが大人になってたからなんだよな。この辺は26年間で監督やら周りやらの考え方が変わったからな気がする。テレビアニメ版の頃の関係性だとどうやってもこの選択はしなかったと思うから。

そんでシンジはヴィレに戻るわけよ。それをよく思わない二人がいる。ギャルなオペレーターとケンスケの妹である医療班の鈴原サクラだ。

ギャルなオペレーターはシンジの被害者の代表だ。彼女の家族はシンジの起こしたニアサードインパクトで死んだ。そりゃあシンジを受け容れることはできねえ。

サクラは少し複雑で、シンジは自分の恩人でもある。彼が傷つくのが嫌だ。戻ってこなければ傷つかないから、戻らないでいてほしいと思っている。

二人の対比もいいよね。サクラちゃん可愛いし、ギャルの気持ちもわかる。

もう一人最高に揺れているのはミサトさんだ。

ミサトさんって今までの作品だと割とダメな大人としてとらえられてるんだよね。家散らかしっぱなしで冷蔵庫にはエビスと獺祭しか入ってないし。昔の男のこと忘れられないし。大一番でシンジに全部を背負わせるし。その結果14年後に再開したシンジにクソ塩対応するし。

それが今回いろいろ語られるわけよ。ミサトさんは本当は悔やんでいたのさ。14年前の決断を。だからシンジを殺せなかったし。今も殺せない。

正直この辺りQでは考えてなかったんじゃないかなとか思わなくもないけど、つじつまはあってるからよし!

迷いの結論が出る場面がある。いろいろ作戦が失敗してシンジがゲンドウを追うと言う場面だ。

これは14年前のやり直し。

シンジを撃とうとするギャルとサクラを止め言う。今度は「行きなさい」じゃない。「シンジの行動の責任は私が取る」だ。任せるんじゃない。自分が責任を取るなんだ。

この場面すごく好き。なんか本気で泣いてしまった。ミサトさんがそれだけ大人になったんだなって。いままで言葉足らずだったりできなかったことができるようになったんだなって。

そして、実際に槍を届けることで責任を果たす。

もうここで大団円でいいんだけど。話は続く。とはいえ、もう畳んでいくだけ。

シンジとゲンドウはいよいよ対決する。それこそ26年越しの親子喧嘩。ここでゲンドウの操作するエヴァ13号機とシンジの初号機の戦闘シーン。面白いのはここの戦闘はあんまり飛んだり跳ねたりしてないんだよね。冒頭のぐるんぐるんバトルじゃなくて殴り合い。親子喧嘩なんだよ。

一通り殴り合いをしてからは話し合い。突然の実写パート。ゲンドウの回想シーン。コンテ撮。でもないけど。しれっとマリさんゲンドウたちの回想シーンにいますけど結局何者だったんでしょうね。

二人は向き合って幸せな抱擁をして終了。シンジがゲンドウから逃げていたのと同じようにゲンドウもシンジから逃げていたんだよね。妻を失ったことと向き合うのが辛いから。でも、大人になったシンジはゲンドウから逃げない。お父さんにウォークマンを返す。

お父さんはシンジの中に妻を見つける。逃げなければそこにいるんだ。

あとに続くの登場人物たちの救済の場面。居場所を見つけるアスカ、レイ……カオル君もなのかな。

ラストの場面も面白かったな。テレビ版の最終話編っぽい感じのだんだん絵コンテに近づいていく感じの演出とか。あれは別に時間がなかったからではないのだよ。という意気込みを感じた。

「エヴァにお疲れ様」は汎用人型決戦兵器のエヴァだけに向けられたものじゃねえよなって思う。

26年の歴史とかさその間のファンの考察とかも含めたエヴァの総体。それにお疲れ様って。みんな少しだけ大人になって歩き出して。真っ向から受け入れて受けてたって、期待を裏切らないで予想を上回って。だから結局、

エヴァというコンテンツの最終回にふさわしい作品だったと僕は思うわけさ。

(追記)考えてみれば、俺が今日これを見に行ったのも学生時代にアイツに誘われたからっていう「あの頃」の延長線上にあるもんなんだよなって考えると、なかなか来るものがあるね。

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