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マッドパーティードブキュア 249

「ぐぅう!」
 突然の衝撃に防御が追いつかない。無防備な側面からの爆風に吹き飛ばされる。耳を打つ怨嗟の声。なんだ? 頭の中を混乱した思考が吹き荒れる。
 風を切る音、視界の端を球体がよぎる。とっさに斧をかざす。
「うわぁああ」
 怨嗟の声が聞こえた。斧の刃にすさまじい衝撃を感じる。メンチはあえて衝撃にあらがわず、転がってキュアパックから距離をとる。膝立ちで立ち上がり向き直る。
「どうかしたのかい? 突然転げまわったりして」
 キュアパックが小首をかしげてくる。澄ました態度への苛立ちよりも、得体の知れない攻撃への危機感の方が先に立つ。
「足元にきれいなお花が咲いていてな」
「あら、風流だこと」
「踏みつぶすのもかわいそうだったからよ」
 言いながら、メンチはキュアパックをみつめた。構えた様子のない立ち方。あのような威力の爆発物を隠し持っているようには見えない。いったい、あの攻撃は何だったのだろう。
 魔法少女力による爆発だろうか? そうではないように思えた。それにしては禍々しい気配だし、なにより斧による防御があまり有効でなかった。ドブパックの力は、おそらく混沌の世界の力だ。であれば同種の力を宿したメンチの斧で干渉し威力を減ずることができるはずだった。
 だが、とメンチは力の抜けかかる膝にさりげなく手をやりながら考える。このダメージはなにか別種の力のように思えた。混沌の力を軸にしているにせよ、なんらかの別の力を取り込んだ攻撃。
 何によって力を得ているのかを把握しなければ、戦いのステージに立つことさえ困難だ。
 ならば。メンチは斧を低く構える。
「へえ、まだやろうってのかい」
 キュアパックがにやりと笑う。忌々しく、残忍な笑顔。
「どうだかね」
 メンチは斧を地面に突き刺して、撥ね上げた。砂利混じりの砂がキュアパックに降りかかる。
「なんじゃあ!」
 キュアパックが怒鳴り声をあげ、降りかかる砂利に顔を覆うのが見えた。

【つづく】


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