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トーマス・ヤーン『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』について

 この映画を初めて観たのは高校生の時だ。夜中にテレビを観ながらだらだらしてて、チャンネルを変えたらこれをやってたのだ。

 最初は、「深夜にやってる映画なんて、どうせおもんないやろ」と思いながら観てたのだが、これがすごく面白かった。

 この映画には、野郎2人が海に向かって旅をするというロードムービーの面白さ、2人が病に侵されており、余命が少ないという切なさ、途中でギャングに追い回されるというドタバタとしたアクションの動的な感じと、色んな要素がうまいこと混じっている。

 ラストシーンでは、海に辿り着けた達成感と爽快感、しかし病により人生のタイムリミットが迫っているという無常感が混ざり合い、観ていると本当になんとも言えない気持ちになり、心に残る。こういうのって、やっぱり脚本家や監督は計算して撮るのだろうか。すごい仕事だなと思う。

 エンドロールで流れるのは、ドイツのゼーリッヒというバンドによる、ボブ・ディランの『天国への扉』のカバーだ。このカバーが俺は大好きだ。これを聴くと、高校2年生の深夜にこの映画を観た時の感覚を思い出させてくれる。音楽って、聴いた時の感覚を脳内に保存してくれるときがあるから素晴らしい。

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