【三人組メモ】先生と潜入大作戦1

「どーすんだよ!適当なこと言いやがって!本気で行く気か!?」
「もちろんだ。これはチャンスだ。今度こそ彼らが崇める何かを暴いてみせる」
ダメだ…
本気だ、こいつ。
俺は頭を抱えた。
「でもさぁ、女子がいるんだろ?」
そうだ!
「そうだよ!拾井の言う通りだ!こんなことに付き合ってくれる女子なんてどこにいるんだよ!?お前、当てでもあんのか!?」
詰め寄ると、佳一は「うぬぬ…」と、悔しそうにうなった。
ほれ、みろ!
「言われた通りにしないと絶対に怪しまれる」
だったら行かないほうがましだ!
「んーじゃあ、こういうのはどう?」
「何だよ。言ってみろよ」
黙りこくる佳一、拾井もあまり乗り気じゃない様子だ。
そんな中、聞こえてきた声に俺はつい返事をしてしまった。
…今の、誰だ?
俺は恐る恐る振り返った。
「その女子枠に先生を連れて行くとかー」
「…」
そこにいたのは、我らが担任。化学教師!
いつから聞いていた!?
ソッコーでバレたぞ!?
「あの、先生、これはですね…」
「言い訳は結構。お前らは何度言っても聞かないからな」
違うってぇ…
俺は違うんだよー
俺は巻き込まれただけなんだよー
「お前は行かないほうがましだと思ったようだが…後々約束を破ったことへの報復があってもおかしくはないと思わないか?こうして俺が話を盗み聞きしてしまったことだし…女子の代わりは十分務まると思うぞ」
「女子て…」
どこが女子だよ。
「わかってないな、弍方」
…え?
「壱岐、そのタロットカードは?」
「えっと…このカードを使って占いができる女子が好ましいと言われたんだ」
「ふん、バカバカしい…」
先生は佳一からカードを受け取る。
そして、
「あなたは今日、階段から転げ落ちるでしょう!」
よくわからない絵柄のカードを拾井に突きつけて、先生らしかぬ頭の悪いことを発した。
さすがの拾井も何とも言えない顔をしている。
「タロットカードなんてただの道具にすぎない。いいか、本当に欲しいのは女子ではなく、魔女の力が強いやつだ」
けど…
「腑に落ちないって顔をしているな。言っただろう。タロットカードは道具にすぎないって」
「…魔女の力を使ってやつらは何をする気だ?」
「それを暴きに行くんだろ」
先生も一緒に?
行くことは決定?
はぁ、やだなー
「だが先生が来ると、彼らに即刻敵だと認識されてしまうぞ」
それな。
「そのまま行くわけないだろ。生徒のふりをする」
え…えぇ…マジでか…
「何だ、その顔は。俺だってちょっと前まではここの制服を着て通っていたんだ。任せろ」
ちょっと前っていつだよ…
十数年は前だろ…
「俺がいればお前らを守ってやることもできる。拾井は何かあったときのために連絡係として待機してろ」
行く気まんまんかよ。
「…先生、いつもよりテンション高くない?」
授業のときは死にかけ寸前のくせに。
「俺は夜行性なんだよ」
動物か。
「それじゃあ夜になったら落ち合おう」
そう言って、我らが担任様は上機嫌で俺たちの前から去っていった。
厄介なことになってしまった。

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