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Episode 503 ネガとポジがあるのです。

私の住む町は市内中心部まで数km程度の距離の、古くからの農家集落を中心にして住宅地が広がる地域です。
市内中心部まで自転車での通勤・通学が可能…その上、バスの便が「地方都市としては」かなり良いので、住宅地として比較的人気があるのです。
それが…どういう理由なのかは分かりませんが、3階建てくらいまでの小さなアパートは多くあるのですが、それ以上の大きなマンションは無くてですね、古い建売り住宅が老朽化して建て替えられる中で緩やかに住人の世代交代が進み、上手く「ゴーストタウン」を免れた地域なのです。
意外とネックなんですよね…大きな分譲マンション。
上手く世代交代できないと、東京多摩地区や大阪千里地区の古い公団型団地のような問題になる…全世帯が一斉に入居するが故に年齢層に偏りができてしまう「あの現象」をこの町が意図的に回避したとは思えないのですが、結果的に全世代の人口が満遍なく網羅される「健全な町」に落ち着いたのは事実なのです。

この町には「ごく普通」に自治会があり、ゴミ集積所や街路灯の管理・除雪などの「細かな町内維持管理」全般を執り仕切っているのです。
しかも、戸建て住宅が多い地域は自治会組織が強いことが多いのです。
「終いの我が家」をこの地に選び、住宅ローンを背負って住んだ町が「治安が良くて住みやすい」ってことは、当然のことながら生活する上で「非常に重要なポイント」なのですよ。
「集合住宅」を選ぶ人よりも「土地+戸建て住宅」を選ぶ人の方が、土地や地域性を重視しているとことが多いと感じるのは、転勤であちこち飛び回って集合住宅にも戸建てにも住んだことがある私の主観でしかないのですが、強ちハズレでもないだろうと思うのです。

ところで…私は今住んでいる町の自治会の青年部に所属しているのです。
50を過ぎたオヤジが青年部…なんてツッコミはスルーしますよ、要は15軒程度で組織される班の「持ちまわりの班長」以外で、町内イベントのお手伝いをする実働隊と思っていただければ分かりやすいと思います。
動員される班長と違うのは、好きでイベントの運営側に回る「目立ちたがり」だってこと…なんてったって応援団出身者ですからね、私

自治会のイベントについては以前に記事にしたことがあるので、そちらをご覧いただくとして…。

私ね、自治会って組織は、障害の種類を問わず「障害を抱える人」と「定型・健常の人」の対等の関係を作り易いのではないか…って感じているのです。
それは自治会が非営利の共同体であり、地域の住環境維持・管理が主体であるために、その恩恵は住民に等しく配分される必要があって、障害の有無には関係がないからです。

ただ…自治会は本来なら行政が担うべき住民の福利厚生を居住者自ら無償(または無償に限りなく近い金額)で「肩代わり」している部分は否めないのです。
ここで行政が自治会へ仕事を「丸投げ」している…みたいな議論をする気はありません。
実態としてそうなっていて、地域が荒れると困るから持ちまわりで最低限のことはやるけど、だからといって積極的に参加することにメリットを感じない方も多いのですよ。
だから、イベント実働隊として積極的に参加する青年部は、「助かるわ〜!」って感謝されても疎まれることは…まずないのです。

私は自治会青年部の仲間に、私が障害者手帳を持つ障害者だと打ち明けています
ここにはカミングアウトすることで発生するデメリットが全くないからね。
私、気が付いたんです…デメリットがない、これがすごく大事だって。

よく「キラキラ系の発達障害者」みたいな表現を聞くことがあります。
一芸に秀でた成功者が、カメラを前にして発達障害のカミングアウトをする…みたいなヤツね。
それを見て多くの発達障害者が「発達障害者の現実と違う」って違和感を感じているハナシは、私の運営する自助会でも話題になったりします。
でも…最近、私は思うのです。
カメラの前で発達障害をカミングアウトできるあの人たちは、カミングアウトで発生するデメリットが殆ど無いのではないか…って。
あの人たちは、自分の成功と発達障害と "with" する私を、ポジティブに思っているのではないかってね。

私は社会全体に向けて私が発達障害者だとカミングアウトすることはできません…カミングアウトすることで発生するデメリットが大きすぎるから
でも、自治会青年部に限定すれば、カミングアウトで発生するデメリットがないのです…障害の有無で私の活動の評価を上げたり下げる人がいないから。

先日、私はTwitterでこんなツイートをしました。

発達障害のカミングアウトって言うと、真っ先に思いつくのは「就労」に関することが多いように感じます。
ここではどうしても「障害」故の「配慮」の話にならざるを得ません。
働く上で必要なこととは言え、配慮を「お願い」する以上、立場的に弱くなることが多いのではないか…と思います。
仕事に対する公平感や立場など「職場の力関係」を気にしないといけない部分もあって、難しい問題を抱えてしまうこともあるワケです。

どうやら発達障害のカミングアウトって、ふたつの種類があるようです。
配慮してもらうためのネガティブなカミングアウトと、発達障害と "with" する私を認識してもらうポジティブなカミングアウト。
おそらく、ポジティブなカミングアウトには「見返り」はないし、そんなの期待もしていないハズ。
そのポジティブなカミングアウトが可能な範囲が、自治会青年部だったってこと…私の場合。

私はみなさんに自治会活動をお勧めしているワケではありません。
ただ…経験上、障害者も定型・健常者も一緒に活動して、その障害というラインをお互いに意識しないでいられる、私にとって身近な組織だったことは間違い無いのです。

ポジティブなカミングアウトが可能な場所…つまり、発達障害と "with" する私を認識してもらえる、見返りがない「フラットな関係」を維持できる場所。
それが見つかることが、あなたの未来を作る気がするのです。

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