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Episode 537 華麗にステップを踏むのです。

左利きである私は、この世で最もメジャーなマイノリティこそ「左利き」である…と思っているのです。
そして、左利きを題材にした例え話は、過去のnote記事の中にも数多く存在します。

先日もTwitterでこんなツイートをしました。

最近では左利きの人を見ても「あぁ」と思う程度で、気にも留めないことが多くなりましたが、ツイートや過去記事に書き記した通り、「左利きの不自由」が全く解消したわけではないのです。
それでは、左利きの人を見ても「あぁ」と思う程度になった理由は何か…と問えば、恐らくその答えは「慣れ」でしょうね。

私が小学生くらいのころ…昭和50年代あたりが、きっとその転換期だったのでしょうね。
TVの番組などに出演するタレントや俳優の方々が普通に左手を使って食べたり文字を書いたりする姿が放送されるようになったというのも大きいのでしょう。
そして何よりも左利きのヒーローが多く現れた時代でもありました。
『巨人の星』の星飛雄馬、王貞治氏・掛布雅之氏など、マンガでもプロ野球でもサウスポーが大活躍し、音楽界ではジミ・ヘンドリックスやポール・マッカートニーといったロックスターが「グーフィー」に構える変則スタイルで聴衆を魅了するなんてことがあったワケです。

左利きを多く目にすることになった最近では、左利きの「左利き独特の動き」を見慣れてきたワケです。
例えば自動改札。
最近はIC定期をかざすだけ…なんてのが多いのでしょうが、かざす場所は改札口の右側にあるワケです。
右利きの人は左胸の内ポケットから右手でカードを取り出してかざす…ってのが多いのでしょうかね、これが左利きだと、右胸の内ポケットから左手でカードを取り出し「体を右に捻って」かざすことになります。
この体を右に捻るという余計なステップが入ることが「左利き独特の動き」ということですよね。

ポイントは、この「余計なステップ」を誰も気にしなくなったということです。

先ず、左利きの当事者から。
使いやすい左手を使ってカードをかざすためには体を捻らなければならないワケですが、使いにくい右手でカードを扱うよりも体を捻る動作を入れた方が動きやすい…だからそうしているだけのこと。
右手でも良い左利きなら、ワザワザ体を捻る動作を入れずに右手を使います。
体を捻ってでも左手の方がラクなのだから、そこにやり難いという概念は存在しません。

次に、右利きの観察者として。
自分が右手で体を捻らず通過できるから、捻る動作が入る分だけ余計なことをしているように見えるかも。
でも、捻る動作を加えることで改札の流れを悪くしているワケではないなら特に問題ないよね。

ツイートの通り…これが、世の中のベーシックです。
サッカーのフィールドのように左右対称で、どちら側からも同じように折り返して攻撃できる…ワケではありません。
右サイドを駆け上がり折り返しのクロス…なら右足が有利でしょうけど、左足利きの私は右足でクロスを上げる精度がありません。
ステップを入れて向き直り、左足でクロスを上げたい…。
左足の精度に自信のないあなたが左サイドを駆け上がったら、私の右サイドの時のような対応をするのでは?
世の中は、その「右サイドからの攻撃」で全体の殆どをカバーするってことです。

左利きはステップをひとつ多く入れることで「右サイドからの攻撃」に参加できるワケですよね。
ひと昔前は右足でクロスを上げる様に練習した人が多かったけれど、最近では左でもキレイにクロスを上げられるようにステップの腕を磨く人が増えたってことでしょうね。
そして華麗にステップを踏む人を多く見かける様になって、見慣れた…これが、サウスポーというマイノリティを取り巻く現状です。

この関係は、マジョリティが有利になるように出来上がっている社会でマイノリティが生きていくために「大切なこと」を明確に示している…と私は感じています。

このことを踏まえて、次回は「ユニバーサル・デザイン」を考えたい…と。

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