bag lady(Erykah Badu) 和訳
Bag lady you gone hurt your back
Dragging all them bags like that
I guess nobody ever told you
All you must hold onto,
is you
バッグをお持ちのそこの女性、背中を痛めちゃったんでしょう
バッグをそんな風にたくさん引きずってるからだよ
誰も教えてくれなかったんだと思うけど
持ち続けなきゃいけないものはたった一つ
あなた自身だよ
One day all them bags gon' get in your way
One day all them bags gon' get in your way
I said one day all them bags gon' get in your way
One day all them bags gon' get in your way
いつか、そのバッグたちに通せんぼされる日がくる
いつか、そのバッグたちに通せんぼされる日がくる
言ってるでしょう
いつか、そのバッグたちに通せんぼされる日がくる
いつか、そのバッグたちに通せんぼされる日がくるから
So pack light,
Pack light
pack light
pack light
だから、軽く詰めなおそうよ
軽く
軽く
軽く詰めなおそう
Bag lady you gon' miss your bus
You can't hurry up, 'cause you got too much stuff
When they see you coming, niggas take off running
From you it's true, oh yes they do
バッグをお持ちのそこの女性、バスに乗り遅れるよ
そんなんじゃ走れないよ、荷物を持ちすぎなんだから
あなたがやって来るのを見た乗客たちは
逃げ出すよ、誓ってもいいけど逃げ出すよ
One day he gon' say you crowding my space
One day he gon' say you crowding my space
I said one day he gon' say you crowding my space
One day he gon' say you crowding my space
いつか言われる、「あなた、私の場所にはみ出してますよ」って
いつか言われる、「あなた、私の場所にはみ出してますよ」って
私言ってるでしょう
「あなた、私の場所にはみ出してますよ」って言われるよ
いつか言われるんだよ、「あなた、私の場所にはみ出してますよ」って
So pack light,
Pack light
pack light
pack light
だから軽く詰めなおそう
軽く
軽く
軽く詰めなおそう
Girl I know, sometimes it's hard and
We can't let go
Oh when someone hurts you oh so bad inside
You can't deny it you can't stop crying
So if you start breathin' babe
You won't believe it
It feels so much better, so much better baby
ねえそこのあなた、分かるよ、時にはしんどくって
受け流すことなんかできない
誰かにひどいことを言われたら、心はめちゃくちゃになるし
自分でもそんな気がして、涙が止まらない
そんなときは
息をしてごらん
信じるか分からないけど
そしたらずっと、ずっと気分がましになるよ
Bag lady
let it go
Girl you don't need it
バッグをお持ちの女性
手を離してしまいなよ
あなたにはそんなものいらないでしょう
Bet ya love can make it better
need someone to love you right
愛があれば気分が良くなること間違いなし
誰か、ちゃんと愛してくれる人が必要だよ
Bag lady
let it go
let it go
Yeah you don't need it
バッグをお持ちの女性
手放しちゃうんだよ、ほら
置いていってしまいなよ
それは必要ないよ
補遺
bag lady: (買物袋に身の回り品を入れて持ち歩く)女性のホームレス
(ジーニアス英和大辞典)
ここでいう「身の回り品」とは、女性が引き受けなくてはならない(と思い込んでいる、思わされている)規範のことです。
この動画では美や恋愛が中心にフォーカスされていますね。
この曲が出た2000年という時期は、ジェンダースタディーズでは第三波フェミニズムに分類されます。
その中でも「ガーリー・フェミニズム」と呼ばれる立場は、「女性らしさ」(化粧やスカートといったもの)をウゼエ!と否定するのではなく、むしろ自己表現の手段として評価する立場です。
スクショで載せたようなPVを見るに、このbag ladyはガーリー・フェミニズムに対する意見表明なのかなあと思います。
世の女性よ頑張りすぎるな、ということでしょうか。
それでなくても、第二波フェミニズム(ウーマン・リブとか、一言で言えば女性の社会進出・活躍を目指す活動です)のち、行き過ぎた例では「女に生まれたのだから戦ってみせなくてはいけない」という圧力もあったでしょう。
美、キャリア、恋愛、政治参加、勉学
全部を手に入れていかなければいけない、上手くやらなきゃいけない、と思いつめる女性に対する応援歌なのかなあと思っています。
まあ上につらつらと書いたのは(多分こうかなあという)歴史的文脈であって、こんなことは忘れてもっと気楽にこの歌を楽しむことだってもちろん可能なわけです。そもそも男性にもそうでない人にも、すべての人に響きうる曲でしょう。
私も、朝この曲を流しながら「今日もぼちぼち働くか~」とぐらいのぼんやりした気持ちで家を出ています。握りしめておかなきゃいけないのは、自分自身だけらしいし。
※
ちなみにこの曲のいいところは、「努力しなくてもあなたはもともと美しい」とは決して言わないところです。まず美しいかどうかは問題にもなっていなくて、それ以前の「you」「自分自身」にまで戻っている。
綺麗でいろ!美しくあれ!という押しつけを拒否するには、「どんな体型でも、どんな顔立ちでも美しい!」という偽善的なボディポジティヴでは足りません。「そもそも美しくないとあかんのか?美しくなくてもええやないか?おぉ?」という問題提起が必要です。
この曲は美をよしとする価値観が入っていないので、すごく心地いいです。
※
ところで翻訳は難しい。最近学術翻訳の下請けみたいなことをしましたが(おままごとみたいなもの)、分量に対して作業量が5倍ぐらいあって目を回した。脚注とかも訳して、そこに乗ってる参考文献の翻訳出てるか調べて…ってしてたら、たった6000語の論考に一日かかります…。