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【詩】わたしは書く

わたしは書く

鳥が翼で
風を掴むように
反復する指先が
命に触れるまで
打ち捨てられた言葉たちは
ゆっくりと朽ち
その身を蝕まれ
途方もない潜在意識の
土壌となる

言葉が口を抜けるとき
小さな隕石のように
その身を焼き尽くされ
地上に届く頃には
色彩を失った
石ころに成り果てる

一片の嘘も飾らないものだけが
大気圏を越え
柔らかな大地を享受する

あなたに何かを伝えたいとき
私の口は押し黙り
無数の言葉が
飛び交う小宇宙で
ついに何も掴むことはできず
手ぶらのままに帰宅する

あなたの美しさを
ただ美しいと伝えることさえ
言葉には
荷が重い

だから
わたしは書く
伝えられぬものを
伝えられぬものとして
甘美な矛盾を孕みながら
詩を
書く











大事なお金は自分のために使ってあげてください。私はいりません。