見出し画像

眠れない夜と暗黒物質の話②

眠れない夜、というかバッチ処理走らせてて眠っちゃいけない夜なので続き書いていきます。
前回の記事はこちら

ちなみに前回の記事の写真はダークマターの存在証拠の一つのプランク衛星測定結果でした。カラフル。

今日はダークマターはどうやって見つけるの?というお話。

そもそも見つけるって何?

難しい境界ですが、素粒子物理屋さんとしては、未知の物質の質量であったり、どのような相互作用をするのかであったり、その未知のものが数式で表せれば見つけた!と言っていいのではないでしょうか。

そして、物理屋さんは何でも数字で表さなければいけません。

その物理現象の信号が、今回の場合ダークマターのシグナルがどれぐらいの確かさで、(何σの、という表し方をします。詳しく知りたい人は統計の勉強をしてみてください。)検出できたか、観測したかとあらわさなければいけません。

じゃあ、どんな方法でどんな信号が得られればダークマターを見つけられるの?というお話をしていきましょう。ようやく本題ですね。

とっても大雑把にいうと3つの探索方法があります。


①加速器実験

前のお話ででてきたE=mc^2の式から、より大きなエネルギーはより重たい物質を意味します。
原理上、宇宙が作られたエネルギーを人間が作り出せればダークマターもダークエネルギーも生成可能なんですね。

とある理論(超対称理論といいます。かっこいいですね。)からこの辺の質量にダークマター候補の粒子あるんじゃないかな、という予想がされており、そのエネルギーを目標に加速させていましたが
最近その辺でも見つからなさそうじゃない?という話も出ています。
加速器実験は本当にたくさんの物理的なモチベーションがあるので、ダークマター探索のため!という訳では無いのですが、1つの目的としてそういうのもあります。

②間接探索実験

物質と反物質が衝突すると対消滅するというのは有名な話ですが、ダークマター同士が衝突した場合対消滅してガンマ線なり何なり出すんじゃない?
そのガンマ線観測したらダークマター見つかるんじゃない?
というのが大雑把な間接探索実験のイメージです。

宇宙から降ってくるガンマ線などを観測し、anomalyを探します。

加速器や直接探索実験では探索できない相互作用モデルについても検出できるというメリットがあります。
その反面、宇宙全体からのダークマター信号を拾うために誤差がめちゃくちゃ大きいという難点もあります。

実際、いくつかの実験でそれらしき信号が見つかっていますが、誤差が大きく確かなことが言えないのが現状です。

③直接探索実験

前回のお話で、ダークマターは銀河や星を形成するための重力の源である、という話をしました。
つまり裏を返せば、銀河ができているここには、宇宙の構造の中でもダークマターが集まっていると言えます。
この銀河に集まっているダークマター検出しよう!というのが直接探索実験です。

地球は銀河に存在し、移動しているので、常にダークマターの風を受けている状態になります。
砂嵐の中を歩いているようなイメージですね。
向かい風だとよりたくさん砂嵐が当たり、追い風だとちょっと減りますね。

地球は太陽の周りを公転しています。
さらに、太陽自体は現在はくちょう座の方向へ移動しています。
この、太陽が移動する方向と地球の公転の方向が全く同じになるときと逆になるときとで、地球へ降ってくるダークマターの量が季節変動します。
さっきの砂嵐のイメージですね。
この降ってくるダークマターの量の差から検出しようと言うのが直接探索実験です。

聡明な読者の方は「いやダークマターの量って何やねん。検出できんのにどうやって測るんや」ってなったと思います。

そうなんですよね。またどこかでお話ししたいと思いますが、この世界にある四つの相互作用の内、我々が検出器で捕まえられる相互作用は電磁相互作用しかありません。

ダークマターはもちろん電磁相互作用しないので、検出は出来ません。

じゃあどうやってはかるんや、というと、ダークマターと反応して弾き飛ばされた原子核のシグナルを観測します。

ダークマターが運動エネルギーを持って降り注ぎ、地球上の検出器内の原子核を弾き飛ばします。ビリヤードみたいなイメージ。

その弾き飛ばされた原子核は運動エネルギーを渡されてちょっと動きますね。このちょっと動いたシグナルをつかまえるわけです。難しい。

続きは

今日も眠気が来たのでこの辺で。バッチ処理もとっくに終わってしまいました。

今回は今主流な三つの探索方法の話をしましたが、未知の物質の探索なのでもちろんいろんなモデルがあって、それを見つける為の様々な素晴らしい実験があります。

今回挙げたのはそのうちの一つのモデルの探索実験達でした。

次回はどうしようかな、やる気が出れば、他のモデルの紹介とか、実験の紹介とかしていこうかなと思います。

どこの層に需要があるのか分からないお話でしたが、眠れない夜のおともになれればうれしいです。

おやすみなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?