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文章を読むからこそ、文章は書けない

バイトを削っているのも、近所のカフェにお金を払っているのも、卒論を書くためだというのに、進む気配が全くない。同士のみなさんこんばんは。今わたしは、自分の卒論に関係しそうな先行研究を20本(論文の数え方が「本」でいいのか不明)くらい読み漁ったところです。他人の立派な論文を読んではいろいろ考えて、一人で頭を抱える毎日から未だ抜け出せていません。1月10日16時が大学への提出期限?なんの冗談でしょうね。


「本/論文を読む」というのは、すでに完成された他人の考えや情報を自分の中に入力する行為思考を同時に行っている状態らしい。完全に1:1で向き合い続けなきゃいけないけど、対等ではない。本はわたしに語りかけてくれるのに、わたしが考えたことはなにも受け取ってくれないんだよね。読み終わるまで一方的に入力が続くの。出力できないことが入力を研ぎ澄ます。でもわたしは、自分の中に蓄え続けると苦しくなってしまう人間なので、今もこんな風にnoteにしています。結果的に卒論の進度はゼロ。ばかだよね~~~。もう最近は、時間があろうとなかろうと、出てくるアウトプットの質とタイミングは変わらないわ、と諦めて働いています。
いいかい同士のみんな、図書館に籠ったって遊びまくったって、卒論が完成するタイミングは恐らく一緒だよ。

そして何が分かったかといえば、文学研究をする人間はみんな頭がおかしいということ。ハイレベルな先行研究であればあるほど「この人たちは暇なのか?」と思わずにはいられない。小説のある一行を切り取って、その限られた文字数が含む限りない文学性を考察する論文(A4用紙7枚分)を読んだときには、そっとパソコンを閉じてしまいました。
数学なんて将来何の役に立つのよ」というお決まりのセリフ、文系の人間(数学アンチ)なら絶対に言ったことがあると思うんだけど、金輪際このセリフは使わないでおくね。だってこのとおり、わたしの研究分野は日常生活で全く役に立たないんだもの。「役に立つかどうか」の尺度で見てしまうと、わたしや、先の文学研究論文の執筆者たちは間違いなく全員理系に敵わない。役に立つ立たないで、学術研究を見るものじゃないね。文学や哲学の面白さがそこに無いように、数学の面白さもまた別のところにあるんじゃないかなと。むしろ万人の役に立たないからこそ、文学的だと言える気がする。まあこの結論でさえ、根っからの文系としての意地だけど。


「よく本を読む人間は、すらすらと流れるように文章を書ける」というのは全くの幻想で、実際は普段から質の高い文章に触れているがゆえに、書けないというのが本当です。書けば書くほど、自分の文章はなんて安っぽいんだろうと思うから。文章を書き続けることは全く苦じゃないけど、自分の書く文章の稚拙さに耐えられないのよね。そもそもわたしは、客観性を放棄してでも「その人にとって本当のこと」を書いた文章にしか興味がない。だから客観性が最重要視される論文は相性が最悪です。「2万字の小説を書け」ならどんなに楽か。逆に普段「本を読む意味が分からない」なんていう実利主義者(偏見)は、きっと卒論を書くのはスムーズなんだろうなと思う。
文章を読むからこそ、文章は書けない。



文学は理論的ではないんでしょうか。
「全ての学問の土台に哲学がある」というのは大多数の学者が賛同している有名な話ですが、例えばどの分野でも共通して、「成功しているひとは〈己の哲学〉を持っている」と思う。「こだわり」とか「人を巻き込む力」とも言うね。偏見や頑固さとは違う、他人の文学や哲学に触れて精査された「矜持」としての哲学は、他の誰もが理解できずとも、それが本人の中で理論的であるから成り立っている。そしてそれに賛同し、賭ける人間がいるから、成功している。となれば哲学は理論的だと言えないか。哲学の領域に最も近い文学もまた、個人の哲学に基づいて書かれたものである以上、理論的と言えるのではないか。

古今東西の万人と共通の理論を構築できる科学や数学に対して、文学や哲学は思考する人の数だけ理論を生み出せる。大衆的な理論と個の理論があるわけです。そして個の理論は時に、大衆的な新しい理論になったりする。

なんて、数本の論文を齧ったくらいで考えてみたものの、誰かと議論するわけでもなく、肝心の文学にその答えを見つけるでもなく、この持論を精査する時間も気力も能力も根性もないまま、なんとなくここに書いています。精査しない持論は哲学にも文学にも昇華できず、だいたい偏見になります。また一つ、偏見ババアへと近づく自覚を持ちつつも、忘れる前にここに残してみました。こんな風に卒論も書けたらいいのに。わはは!



追伸:調べてみたら、論文の数え方は「本」「編」「報」の三つが一般的らしい。一番文学っぽくてかっこいい気がするので、これからは「編」で数えるワ



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