見出し画像

バス停のある風景:笹子駅前

笹子駅前(富士急山梨バス)
2017年5月撮影
山梨県大月市笹子町黒野田

バス停の前が甲州街道国道20号線。
この道を前方へ進めば、笹子トンネルを抜けて甲府盆地へとつながる。
バスは笹子トンネルを抜けて甲府盆地方面へは行かず、トンネルの手前の少しばかり脇にそれた集落が終点となる。

写真中央に小さく見えるのがJR中央本線笹子駅。

バス停のある黒野田は、旧甲州街道の宿場町で、このバス停から少し甲府方面へ進むと、少しばかり宿場風情を見ることができる。
旧甲州街道は国道20号線の笹子トンネル(正式には新笹子トンネル。かつては有料道路だった)の手前から山に入り、山越えのルートとなる。
この旧甲州街道に沿うように、旧国道(現県道)も山に入り、旧甲州街道笹子峠直下をトンネルで抜ける。このトンネルが本来の笹子トンネル(笹子隧道)で、そのため、現国道のトンネルが新笹子トンネルとなる。
この甲州街道の難所笹子越えには旧国道、現国道、中央自動車道、JR中央本線と、いくつものトンネルが存在する。
最近は、現国道のトンネルが老朽化してきたので、隣に新たにトンネルを掘る計画があるという。
なお、JR中央本線の笹子トンネルは完成時(明治後期)は日本最長(4,656m)鉄道トンネル。(昭和中期に複線化の際に隣に新笹子トンネルが作られた)国道20号の新笹子トンネルは完成時、日本第二位の長さ(2,953m)の自動車トンネルだった。
昭和初期に作られた旧国道の笹子隧道は、現在、登録有形文化財に指定されている。

江戸期の旧甲州街道は、明治期になって国道となり、その後昭和初期には笹子峠直下に旧笹子トンネルができた。
しかし、標高の高い位置にトンネルができたため、そこまで行くには長い曲がりくねった坂道を行かねばならず、東京方面と甲府盆地の物資輸送のメインルートにはならず、その頃は大月から河口湖を経て御坂峠を越える道がメインルートだっという。
かつて中央自動車道は、大月から河口湖へ向かう路線が先に建設されていたが、これは当初のルートが山梨県身延町を通り南アルプスを貫く予定だったためらしい。
昭和中期に自動車道の新笹子トンネルができ、東京と甲府盆地を結ぶメインルートになった。

JR笹子駅 駅脇のガードは中央本線、奥に見える橋は中央自動車道 2017年8月

JR中央本線笹子駅。
現在は無人駅になっている。
かつてはスイッチバック駅で上記の写真はスイッチバックのホームがあったあたりから撮影。
現在その一部が笹子設備トレーニングセンターになっている。

かつての笹子駅ホーム後に作られた笹子設備トレーニングセンターの設備の一部

上記写真の左側のホームは訓練用のホーム。
写真つき当りに笹子駅のホームがあり、センター構内のレールは乗り越しポイントという珍しい機構で中央本線とつながっている。

笹子駅ホームと右奥にトレーニングセンター そして分岐点が乗り越しポイント

乗り越しポイント、本線につなぎ目も切れもなく、本線上を通過する列車の乗り心地を不快にしない。
トレーニングセンターに車両が出入りするときだけレール脇の緑色の器具を本線上に覆いかぶせてポイントを作る。

さて、笹子といえば笹子餅が昔から有名で、かつては中央本線の特急の車販や大月駅などでも販売されていたが(普通電車の車内で販売されていたこともある)、現在は笹子駅前の製造元「みどりや」(明治期の中央本線開業時に創業)での販売となっている。(近くの笹一酒造でも販売)
「みどりや」は表題のバス停のすぐそばにあり、店内では笹子餅のほか酒饅頭も販売されている。
饅頭の中に酒かすが入っていて、これがなかなかうまい。
笹子餅、酒饅頭を買うだけのミニトリップも楽しいかと思う。

今や、山に近ければどこでも出没しそうなクマ。
ご多分に漏れず、このあたりでも出没するらしい。
笹子駅を利用して登山する人は多いので、要注意。
もちろん、歩いて笹子越えをする人も要注意。

笹子駅前の左手に100mも行かないところにあったクマ出没注意喚起看板