見出し画像

初冬黒姫駅風景

 しなの鉄道黒姫駅。2015年早春まではJR信越本線黒姫駅。
 この駅のホームに降りると、北を望んで左前方に黒姫山、やや右奥に妙高山が眺められる。北信五岳(他は飯縄山、戸隠山、斑尾山)のうちの二つを目の当たりにすることができる。
 黒姫駅からは確認できないがともにカルデラを形成している2000m超の標高を誇る火山だ。

黒姫駅舎

 黒姫駅は目の前の黒姫山から名前を取ったのだろう。しかし、かつては柏原(1968年まで)という名の駅だった。
 柏原は、この地の本来の地名で、江戸期までは北国街道の宿場を形成していた。宿場は駅から東に少し進んだところにあり、俳人小林一茶を輩出したところ。そのため、一茶記念館があり、駅のホームや町のあちこちに一茶の句碑が建っている。

黒姫駅跨線橋からの妙高山 電車は長野行き115系普通電車
黒姫駅ホームからの黒姫山

 初めてこの黒姫駅に降り立った時の目的は、一茶ではなく、駅にある立ち食いそばを食べるためであった。黒姫駅の蕎麦はうまいという評判を聞いていたからだ。
 駅に着いて早速そばを頼んでみると、なるほど駅そばとは思えないうまさだった。
 なぜ、うまいのか。それはたいていの駅そばが茹でそばを湯通しして提供しているのに対し、黒姫駅のそばは生そばをゆでて提供しているからうまい。時間は少々かかるが、ゆでたての蕎麦の方が間違いなくうまい。勿論そばそのものもうまいのだが。
 実は信州の駅そばは、茹でそばの湯通しと同時に、生そばをゆでて提供する2種類を提供しているところが多い。黒姫駅も茹でそばと生そばの2種類を用意している。信州そばのおいしさを味わってほしい、信州そばに恥じないそばを提供したいということだろうか。時間に余裕があるなら、絶対生蕎麦ゆでたてがいい。料金もほんのちょっと高いだけだ。

黒姫駅の駅そば
黒姫駅ホームの一茶句碑
一茶記念館 長野県上水内郡信濃町大字柏原

 黒姫駅のそばにそびえる黒姫山。相撲ファンなら、昭和の力士黒姫山を思い出すだろうし、現在ではその孫である2代目黒姫山もいる。
 黒姫山という四股名から、この黒姫山からとっているのだろうと思っていたが、実は関取黒姫山の出身地はお隣りの新潟県糸魚川市。となると、なぜ黒姫山という四股名にしたのかと謎が起こる。
 実は、糸魚川にも同名の黒姫山が存在し、四股名黒姫山はそこから名づけられたということだ。糸魚川の黒姫山は1200mほどの特に高い山ではないが、山全体が石灰岩でできた鉱山になっている。

トキてつ日本海ひすいライン青海駅付近からの糸魚川の黒姫山 新潟県糸魚川市

 黒姫、この辺りは厳冬期になれば驚くほどの雪が積もる。信州でも雪の多い地域。豪雪はその地に生活する人にとってはありがたくないものだが、もし、この地を訪れるなら、厳冬期に訪れるのもいいかもしれない。ただし、列車が止まるほどの天候時に出かける必要はないが。


※タイトル画像は黒姫駅こ線橋から望む黒姫山(左)と妙高山(右)2019年12月撮影。その他の写真類もほぼ2019年撮影。