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車窓風景:前川渡(まえかわど)

前川渡 2009年撮影
アルピコ交通バス上高地線
長野県松本市安曇

国道158号線、前川渡隧道と木賊(とくさ)隧道の間にある交差点。
奈川渡方面から上高地に向かって、左に乗鞍高原方面への道を分ける。
前川が梓湖(梓川)に合流するところ。
川が合流するところを〇〇渡(ど)と呼ぶ。
このほかにこの辺りには、奈川渡、沢渡、湯川渡、黒川渡、寄合渡などと言う地名がある。

トンネルとトンネルの間の狭い部分が交差点になっていて、奈川渡方面からの車両は、乗鞍高原方面へ左折できるが、上高地方面からの車両は右折できない。
右折の際に突然前川渡隧道から車両が飛び出して事故を起こしやすいからだろう。
加えて右折待ちで後続車がトンネル内で渋滞するのを避けるためでもあるかもしれない。
そのため、上高地方面から来た車両はこの交差点を直進して、前川渡隧道を抜けたところに転回所があるので、そこでUターンして、再びこの交差点に戻り、左折して乗鞍高原方面と向かうことになる。
と、めんどくさい交差点で、そのことが案内標識に書かれてはいるが、事前に何の情報もないと、面食らってしまいそうだ。

このあたりのトンネルは奈川渡ダムができたときに付け替えられた新道のトンネル。
しかし、すでに半世紀以上が経ち、今となっては大型バス同士がすれ違うにはちょっと狭いトンネルになっている。

奈川渡ダムができたころ(1969年)、中の湯から上高地に向かう県道にある釜トンネルはまだ一部が岩肌の露出した素掘りの部分があらわになっていた。
バス一台がやっと通れる大きさで、トンネル内は急坂でカーブまであり、難所中の難所だった。
それに比べたらこの国道の新しいトンネルは夢のようなトンネルだったのかもしれない。