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生まれる前から生まれる子ども

妻のお腹の子どもは33週目に入った。結構前に女の子だと医者に言われて以来、二人で相談して名前をYに決めた。まだお腹の中にいる娘を呼称する時は既にYちゃんと呼んでいるわけである。まだ生まれていないのだが、もう生まれているというか、既に私たち夫婦にとってYは存在している。もちろん、妻は私よりもはるかにその存在を身体で感じているだろう。私は頭で知っているだけである。

そうすると、生まれていない子どもというのは、いつ親にとって存在するようになるのだろうか。母親にとっては、妊娠すれば身体が変わっていくので、その存在を感じないわけには行かない。おそらくこのために、母親にとって子どもはお腹にいるごく早い時期から存在しているのだろう。だが父親にとってはそうはいかない。父親は頭で子どもを認識するしかないから、彼にとってどれくらいお腹の子どもが存在するかどうかは、頭でどれだけ子どものことを考えているかに依存するようである。ともあれ言えることは、Yはまだ生まれていないが、もう私達にとっては生まれているに等しい。ただ不便なのは年齢が存在しないことである。マイナス2ヶ月才の娘とかそんな感じになる。不思議である。

無事に生まれてきてくれますように。

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