![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144042460/rectangle_large_type_2_d2300a284acff5e3f6930402dcf6bbdd.jpeg?width=800)
【チェス】王道の古典定跡を識る-10-
まどろっこしい前置きは抜きにして。前回の記事の続きから。
ナイドルフバリエーションの盤面からの変化を考えていました。
〇メインライン
6手目白Bg5と指すのがメインラインです。
![](https://assets.st-note.com/img/1718364773412-viWvJrzU5i.png?width=800)
近年ではあまり指されない応手ですが、白の狙いとしては、リヒターラウザーアタックのように、次の黒e6を誘うことにあります。リヒターラウザーアタックの記事で述べているように、黒は放置するとダブルポーンによって構造上の問題を抱えてしまうため、e6と応手せざるをえません。
白は、f4と指して次のe5のポーンプッシュを準備します。
![](https://assets.st-note.com/img/1718365093847-MVz3PWDxkE.png?width=800)
<第1図>から、7手目の黒の応手としてはさまざまな手が考えられます。具体的には、Be7、Qc7、Nbd7、b5などです。
ここではQb6と指して、b2のポーンを狙う応手をみてみましょう。b2のマスのポーンはポイズンドポーンと呼ばれ、黒はテイクすることで確かにポーンアップすることはできますが、その代わりにクイーンの可動範囲がかなり絞られてしまうことが難点です。
![](https://assets.st-note.com/img/1718365479563-cBOM8ZpEuD.png?width=800)
この後の進行として、白Qd2、黒Qxb2、白Rb1、黒Qa3となり、黒は結果的にはポーンアップすることができます。しかし、クイーンの動けるマスはa5のみとなっており、評価値的には互角の盤面ですが、黒は指しにくいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1718365631567-lqTRYu92aW.png?width=800)
もう一例みてみましょう。一般的な応手は7手目黒Be7と指して、ピンを解除する一手です。
![](https://assets.st-note.com/img/1718365715458-sVLqLKIt5p.png?width=800)
白はQf3とクイーンサイドキャスリングを準備する手に対して、黒はQc7と指し、e5のマスに圧力をかけていきます。白は予定通りキャスリングをし、黒はNbd7としてピースを展開していきます。この後は、白g4、黒b5と続き、やはり「シシリアン・ディフェンス」の理念である、白はキングサイドから、黒はクイーンサイドから攻めるという展開になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1718365936280-WEdUk9oBES.png?width=800)
〇フィッシャーソージンアタック
6手目白Bc4と指すのがフィッシャーソージンアタックです。
![](https://assets.st-note.com/img/1718366024784-Lbm2P7oSQ1.png?width=800)
弱点であるf7のマスを直接的に狙うかなり攻撃的な白の応手になります。黒はこの強力な斜線にあるビショップを取り除きたいため、b5とポーンをプッシュしますが、白にタクティクスが存在するため、こちらは悪手です。
簡単にタクティクスの手順だけ記しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6. … b5 7. Bb3 b4 8. Nd5 Nxe4
9. Qf3 Nc5 10. Nxb4 Nxb3 11. axb3 Ra7
12. Ndc6 Nxc6 13. Nxc6
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
実際に盤面で動かしてみればわかりますが、白のナイトによってクイーンとルークのフォークがかかります。
そのため、フィッシャーソージンアタックに対する黒の一般的な応手は、e6とポーンを突いてビショップの斜線を塞ぎつつ、d5のマスを牽制する手になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1718366447890-2eiVXzsAZF.png?width=800)
白は黒のb5の攻撃を事前に防ぐため、Bb3とビショップを下げます。黒はNbd7とピースを展開し、白はf4と指して弱点のe6のポーンを狙いながらキングサイドからの攻撃を狙います。
やはりビショップの斜線が気になる黒はNc5と指して、ビショップを攻撃するという流れになります。
〇オポセンスキーバリエーション
最後にもう1変化だけみてみます。6手目白Be2と指すのがオポセンスキーバリエーションです。
![](https://assets.st-note.com/img/1718366722276-XqZ8moX8e9.png?width=800)
この手は、次のキングサイドキャスリングを準備しています。最も古典的な指し回しで、白が若干攻撃性を失う手でもあります。黒はe5と指して、中央の支配を取り戻そうとします。白はNb3とかわし、黒Be7、白O-O、黒O-Oと続いて、両者穏やかな盤面となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1718366901338-CebSbQWbzY.png?width=800)
この後は、一例として以下の手順で進行し、白は黒の弱点であるdファイル、黒は白の弱点であるcファイルからそれぞれ攻撃を狙う展開になります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
9. Be3 Be6 10. Qd2 Nbd7 11. a4
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
![](https://assets.st-note.com/img/1718367107825-8dh8fQJ879.png?width=800)
今回はナイドルフバリエーションの6つの変化のうち、3つをみてみました。前回と合わせてこれで4パターンを紹介したことになります。次回の記事以降では、残りの2パターンをみた後、「シシリアン・ディフェンス」の大詰めとしてドラゴンバリエーションの進化形をみていきたいと思います。
それではまた次回の記事で。
―B.―
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?