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【将棋】序盤は小駒から攻めるべし

タイトルの通りのことが言いたいだけの記事。

将棋は、8種類の駒をブキに盤上で戦うゲームであるが、そのなかでも強力な駒である、飛車と角行を合わせて大駒と呼ぶ。それに対して、歩兵を筆頭に、桂馬や香車といった駒を合わせて小駒と呼んでいる。

序盤は特にこの小駒から攻めていくことが肝心な要素だ。理由は単純明快で、取られたときに損害が少ないからである。チェスもそうであるが、将棋でも、駒の取り合いは損得勘定で決まる。むやみに駒損をすると、ただただ形勢が不利になる一方である。

例えば極端な例を挙げてみよう。

<第1図>の盤面において、どうやって相手の2筋を突破するかを考える。

<第1図>

ここでの悪手はいきなり大駒である飛車を突っ込む☗2三飛成である。相手の損害は歩兵一枚であるのに対して、こちらは☖同金と飛車を取られて大損害である。同じようにして、☗2四銀とするのも、歩兵一枚と銀将の交換となり、駒損である。

好手は☗2四歩と歩兵を打ち込む手である。これならば互いに歩兵の交換であり、駒損は生じておらず、棒銀の形となって、安定した攻めを続けることができる。

<第1図>の例で分かることは、いきなり大駒を動かすのではなく、小駒で道を切り開くのが良いということである。特に、歩兵は突破口になりやすく、歩兵を打って駒損を避けつつ敵陣を突破するというのは「垂れ歩」などよく見られる戦術である。

では、<第2図>の盤面をみてみよう。先手の飛車・角行・銀将・桂馬の4つの駒が利いている攻め筋は「飛角銀桂」と呼ばれ、理想的な攻撃の態勢であるとされている。

<第2図>

先手は4筋からの攻めを「飛角銀桂」の形で狙っている。ここでの開戦の合図は、☗4五歩と歩兵を突き捨てる一手である。換言すれば、これは「小駒から攻める」ということに他ならない。

相手は☖同歩と受ける一択であるが、次に先手にはうまい一手が存在する。ここで、攻め気を出しすぎて飛車や銀将を突撃させてしまうと、☖4四歩と受けられて攻めあぐねてしまう。

☖4四歩で止められてしまう
銀将で攻めても同様

このような事態が起こるのは、「小駒から攻めるべし」という原則に反しているからだと考えられる。

では、ここでの先手の妙手とは何だろうか。それは、☗4四歩と歩兵を再びぶつける一手である。やはり小駒から攻めるという原則を忠実に守る手である。

<第3図>

☖4四銀→☗4五銀→☖同銀と進んだあと、再び☗4四歩と歩兵を打つ。

<第4図>

つまりこれは、後手に4四のマスに歩兵を打たせないようにする戦術であり、先に4四のマスに歩兵を打たれた後手は☖5三金と逃げるも、☗4五桂と跳ねる一手が決まる。

<第5図>


小駒から攻めて、大駒は後方でにらみを利かせる。これが理想的な序盤の攻め方であり、駒を取り合ううえでの大原則なのである。このテクニックは特に序盤で重宝するものであり、これを知るだけで戦況ががらりと変わることもあるのだ。

               ―B.―


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