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【チェス】王道の古典定跡を識る-14-

KIDのエクスチェンジバリエーションをみていきましょう。今回取り上げる盤面は、以下の<テーマ図>です。

<テーマ図>

初形から数手進んでkIDの一般形から6手目黒e5と指した盤面。白のナイトとポーンが利いているため、一見e5のポーンをテイクできそうにみえますが、フィアンケットを組んだビショップのディスカバードアタックが良い味を出しています。

<テーマ図>で、白がdxe5とポーンをテイクするエクスチェンジバリエーションについてみてみます。ナイトに攻撃が当たっているため、黒はdxe5の一択。次はクイーン交換が自然でしょう。

仮に白Nxe5とポーンをテイクした場合は、先ほどのフィアンケットしたビショップのディスカバードアタックによって、黒Nxe4が成立します。

<第1図>

ここから白Nf3では、黒がc3のナイトをテイクした後、白bxc3、黒Bxc3+でルークが落ちて一気に敗勢。そのため、白は先に黒のナイトをテイクするNxe4を選択し、黒はビショップの利きを生かしてBxe5と続きます。dファイルを黒が制圧している分、若干黒が有利か。

そのため、9手目白の一般的な応手としてBg5とナイトをピンします。

<第2図>

黒はh6とポーンを突きたくなるところですが、こちらは悪手。白Bxf6、黒Bxf6、白Nd5とビショップとポーンのフォークがかかるためです。また、黒Nd7とナイトを上がる手も白O-O-Oでdファイルの主導権を渡す格好になり、白良しです。

ここでの一手は黒Re8とピンを解除しつつ、e5のポーンを守る手。これで盤面は互角ですが、ポーンがラウザー構造であり、黒にとってd4が永続的なアウトポストになります。一方、c7のポーンが進んでいないので、白にとってのアウトポストはまだありません。若干黒良しか。

<テーマ図>に戻りましょう。<テーマ図>から、黒Na6とすることで、ポーン交換を拒むことが可能です。この手は、c7のポーンを守りつつ白d5とポーンを突いてきたときに、c5にナイトを配置することを狙っています。

<第3図>

白O=O、黒e5、白exd5と白がポーンをテイクした場合、先ほどの変化と同様に、黒dxe5、白Qxd8、黒Rxd8、白Rg5と一般的には進行します。同じ手順ですが、先ほどとは異なり、a6のナイトによってc7のポーンが守られているため、h6の手が指せるようになります。

<第4図>

今回の記事では、<テーマ図>からKIDのエクスチェンジバリエーションの変化についてみてみました。

次回はKIDのクラシカルバリエーションの変化の一つであるメインラインについて考えたいと思います。

            ―B.―

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