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"振り飛車"の基礎を学ぶ/将棋


”振り飛車”とは?

前回までの記事で、”居飛車”についてどういった戦法なのかをみてきたわけであるが、本記事からはしばらく”振り飛車”の戦法について考えたい。将棋完全初心者である私(=ここで言う”初心者”とは謙遜でなく、本当に実際に将棋の対局を1度も指したことがない程度なのである)にとっても、”居飛車”と”振り飛車”の二大戦法が存在することくらいは知っていたが、具体的にどうやって対局を進めていくか、といった点に関しては未知の領域なのだ。

”振り飛車”はその名を冠する通り、飛車を振って戦う、すなわち、序盤の段階で飛車を2八の初期位置から動かして戦う戦法のことを言う。どの位置に飛車をもっていくかによって、大別して4種類に分けられる。

<第1図>のように、飛車を左側に振り、玉将はその反対側の右側に囲うのが一般的である。<第1図>の位置であれば、「四間飛車」ということになる。左から数えて四つ目の筋に飛車を配置することから、この名前がつけられている。

<第1図>

他にも、3つ目の筋に飛車を振る「三間飛車」、5筋に飛車を振る「中飛車」、左から2つ目の筋に飛車を振る「向かい飛車」などの種類がある。

”居飛車”と同じように、互いが”振り飛車”の戦法を採用して戦うことを、”相振り飛車”と呼び、これにさまざまな「囲い」を組み合わせて戦法とするのである。

”振り飛車”の進行例

簡単にではあるが、一番人気のある指し回しとして知られる「四間飛車」を選んだときの進行の例をみてみたい。「四間飛車」は、開始盤面からまず角行の道を開け、☗7六歩と歩兵を突く一手から始まる。次に☗6六歩と相手の角行の利きを止めたうえで、☗6八飛として6筋に飛車を配置し、「四間飛車」を選択する。

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☗7六歩 ☖3四歩 ☗6六歩 ☖8四歩
☗6八飛
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<第2図>

相手は”居飛車”を選択しており、”居飛車”vs”振り飛車”の戦いとなった。この後は、互いに玉将の守りを固めるために、「囲い」を組みはじめる。「四間飛車」と「美濃囲い」の相性が良いため、先手のこちらは「美濃囲い」を組み上げることを目指す。一方の”居飛車”を選択した相手はオーソドックスな棒銀戦法で攻め込んでくる。ここからの手順はやや長いが、以下の通りである。☗6八飛からの続きである。

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☗6八飛 ☖8五歩 ☗7七角 ☖4二玉
☗4八玉 ☖3二玉 ☗3八玉 ☖5二金右
☗2八玉 ☖7二銀 ☗3八銀 ☖8三銀
☗7八銀 ☖8四銀 ☗5八金左 ☖9四歩
☗6五歩 ☖4四歩
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盤面としては、互いに囲いの陣形を整えた後、”居飛車”の後手は棒銀で、”振り飛車”の先手は飛車先の歩兵を突くことで、攻撃を仕掛けていく状況となっている。最後の☗6五歩は、次に☗6四歩と果敢に攻めていく意図をもっている。

<第3図>

ここからの進行は、”振り飛車”側としては、相手の棒銀をどう止めるか、という点が問題となるため、棒銀の切り込み口を歩兵を突くことで食い止めつつ、こちらも銀将を前へと押し出していく。”居飛車”側は「矢倉囲い」に組もうとしているが、”振り飛車”の特性を生かしてここで一気に攻めていく。

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☗9六歩 ☖4二銀 ☗6七銀 ☖3三銀
☗6六銀 ☖4三金 ☗6四歩 ☖同歩
☗5五銀 ☖5四歩 ☗6四銀 ☖5二金
☗6三銀成 ☖同金 ☗同飛成 
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<第4図>

飛車を振った6筋から銀将を前面に押し出して突き進むことで、相手が囲いを組んでいる間に竜を作って6筋を突破することに成功した。また、”振り飛車”側の玉将はしっかり「美濃囲い」に守られているため、先手が大優勢の盤面となった。

まとめ

今回の記事では、ざっくりとした”振り飛車”の「四間飛車」戦法をみてみたが、次回からは”居飛車”の記事と同様に、<実践編>と題して、序盤から終盤戦までの「四間飛車」の戦いを詳しくみていきたい。

”振り飛車”はかなり人気のある戦法であり、そのなかでも「四間飛車」は一番選択されやすい。”居飛車”を使うか”振り飛車”を使うかはそれぞれの好みや判断に委ねられているが、相手が使ってきた場合も想定して、ある程度の基礎的な部分はどちらも学んでおきたいものである。

             ―B.―

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