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"ドロー"盤面を正確に見極める/チェス


フィリドールポジションの条件

フィリドールポジションの失敗例

ルークエンディングの続きである。

フィリドールポジションの基礎的な部分は、
下記の記事を参考にされたい。

今回は、さらに一般化して、
フィリドールポジションが成立する条件とは何かをみていく。

フィリドールポジションは、
ポーンダウンしている黒番が"ドロー"を狙える配置のことだが、
フィリドールポジションが成立しないとはすなわち、
"ドロー"に持ち込むことができず、白番が勝つことを意味する。

例えば、<第1図>の配置を考える。

<第1図>

この配置は、
黒のキングが白のポーンのあるeファイルから、
外れた位置にある状況となっている。

通常のフィリドールポジションの考え方に則って、
白e5に対して黒Rh6と応手する。

<第2図>

白はポーンを6ランクへと配置し、
ルークの斜線を遮断すべくe6とさらにポーンを突く。

定跡通り、黒Rh1と指してバックランクからの、
連続チェックを準備する手を選択する。

しかし、黒のキングはe7のマスでブロッケードすることができない。
ブロッケードとは、パスポーンの前にピースを配置し、
それ以上前進できないようにブロックする技術のことである。

ブロッケードの例

黒のキングがブロッケードできない位置にいることを利用して、
白Ra8+と指すのが好手である。

<第3図>

この後の手順は、
3.…Kg7 4.e7 Re1 5.e8=Q Rxe8 6.Rxe8 と続き、
黒のルークが落ちることで白の勝ちが確定する。

フィリドールポジションの成立条件

フィリドールポジションの本質は、
白のポーンを6ランクに追いやり、
バックランクから連続チェックをかけることで、
”ドロー”に持ち込むという点にある。

しかし、この戦略が成立するのは、
前提として黒のキングが、
白のポーンをブロッケードできることが求められる。

ブロッケードできない位置にキングがいる場合は、
前項で見た通り、白の勝ちが確定する。

<第4図>では、
黒のキングがe7のマスに動くことのできる、
d8,e8,f8のいずれかに配置されていることが条件である。

<第4図>

ルークエンディングのフィリドールポジションでは、
黒のキングはブロッケードするために、
プロモーションのマスを目指し、
白はルークの利きを生かしてそれを阻止するという攻防となる。

また、ポーンが5ランクにいる状態で、
バックランクからのチェックを狙うと、
<第5図>のように白のキングが逃げこめる位置があるため、
悪手となるので注意が必要である。

<第5図>

さいごに

フィリドールポジションは、
ルークエンディングとなった場合に、
高頻度で現れる配置である。

次回は、
ルークエンディングのもう一つの重要な配置について考える。

以下、私がタクティクス問題を解いているときに出会った、
エンディングの配置を掲載しておく。
2つともポーンエンディングチックな配置ではあるが、
<第6図>はオポジションとキースクエア、
<第7図>はオポジションと地雷マスについての知識がいる。

<第6図>(黒番)
<第7図>(白番)

<第6図>について

端ファイルのキースクエアにキングを配置する

1.... fxe4+  2. Kxe4  Kg4  3. Ke3  Kg3  4. Ke2  Kg2

<第7図>について

オポジションを活用して相手のポーンをテイクする

1.Rxf5+  gxf5  2. Kf4  Ke6 3. Kg5  Ke5
4. Kxh5  Kf6 5. Kh6  f4  6. gxf4

                ―B.―

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