見出し画像

僕らの金メダル 9話

10月最初の日曜日。秋の気配を少しばかりのぞかせる、そんな朝だった。そんなに大きくない大会だったので、『優勝』するなら、この日しか無いと…親たちは息巻いていた。
この日の大会はトーナメント戦だった。負ければそこまでだ。優勝する…というより目の前の相手と一戦一戦を大事に戦って勝つ…という事が、僕らにとっての目標だった気がする。負けたら終わりだと思うと、なんだか開き直れたし、いい緊張感があって試合に臨んだ。
初戦…対戦相手のチームは、去年までなかなか勝つ事が出来なかった。それが去年の冬の試合で初めて勝つことが出来て以来、負け知らずでいる。この日も初回に先制点を取られたものの、その後のピッチャーの好投と打線も上手く絡み、6対1 で勝利した。前回の大会の決勝戦で悔しい負け方をしたが、この日のピッチャーの出来は最高で、スピード、球のキレとも文句のつけようが無いくらいだった。 
2戦目…対戦相手との力の差もあって、一方的な試合運びとなり、後半は後輩たちに活躍の場を譲り…12対5  で勝利した。
3戦目…相手ピッチャーも速球派で、なかなかチャンスを与えてはくれなかった。苦戦を強いられ、0対1のまま試合は進んだ。僕らの攻撃。6番からだ。この回も簡単にツーアウトまで取られてしまった。嫌なムードだ。8番セカンドが粘りをみせる。速い球に食らいつきファールボールで粘る。四球を選んで塁に出る。続いて9番が繋ぐ。ダブルスチールの間に相手チームのキャッチャーエラーも加わって…同点。ベンチも沸き立ちムードも最高だ。その雰囲気のまま、最終回に逆転をしたんだ。
準決勝…ここまで勝ち上がってきたチーム。一筋縄ではいかない。でも、僕たちも前の試合の逆転劇でムードも最高になっている。しかし、0対0 のままの均衡で試合が動かない。両投手共ナイスピッチングで、まさに投手戦だ。そんな緊迫した試合を決めたのは…3番サードが放ったホームランだった。
こうして、4度目の決勝戦へ駒を進めたんだ。対戦相手は…あの…僕らの目標チームだ。
いざ!決勝戦へ…!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?