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僕らの金メダル 10話

試合と試合の合間に、おにぎりやバナナを頬張って決勝戦に備えた。
準々決勝から苦しい展開を何とかものにして勝ち上がってきた僕たちは、最高潮に達していると言ってもよかった。そんな僕らと決勝戦で戦う相手は…そう、あの全国大会3位、中国大会優勝を成し得たチームだ。僕らが、ずっと目標としライバル視してきたチームだ。今期、4度目の対戦となる。まだ1度も勝てていない。
こんなチャンスは2度と無いかも知れない。僕らが決勝戦まで上がってこれたこと…そして、対戦相手があのチームだったということ…運命なのかもしれない…とさえ思った。このチャンスを逃したくない。そんな思いを胸に決勝戦は始まった。
雲が厚く覆い出した。雨も、ぽつぽつと降り始めてきた。4連投のピッチャーの肩も限界に近いだろう。疲れも溜まってきているだろう。他の選手も同じはずだ。でも、みんなの顔は輝いてさえいた。みんな、このゲームを楽しんでいるんだ…きっと。
雨足が強くなってきた。審判団から一時中断のコールが言われた。両チーム共、ベンチの中に入り行方を見守った。なかなか、雨は止みそうになかった。審判団と両チームの監督が集まって協議した。…10分程様子を見て、雨が弱まってきたら再開、降り続くようなら中止という判断らしかった。
僕らのベンチは明るかった。雨に濡れて少し冷えた体も気にはならなかった。みんな笑っていた。早く試合の続きがしたくてウズウズしていた。
相手側ベンチを見ると、早く止めてしまおうよ…という雰囲気がしていた。中止になれば、両チームの優勝ということになる。それでいいじゃないか。といった雰囲気だった。
冗談じゃない!僕らは、あいつらに勝って『優勝』したいんだ。あのチームと勝負したいんだ。今までとは違う僕らチームを見てほしいから。…そんな思いが通じたのか雨が上がってきた。晴れ間さえ覗いている。よ〜し!試合再開だ!
僕たちは、自然とベンチから走り出していた。誰からともなく全速力で…笑顔満開で。

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