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僕らの金メダル 最終話

12月半ばの日曜日。僕らがずっとライバルと思っているチーム主催の大会だ。この大会が、僕らにとって最後の試合となる。決勝戦で、また戦い優勝することが、この日の目標だった。
1試合目…1番あたりたくない相手との対戦だった。いつも接戦で苦戦する。なかなか打てないでいた。いつも投手戦だ。サードの彼は、この日初めて相手投手のチェンジアップに上手く合わせ事が出来た。『行った!』と思った。これで逆転だと…相手の好守備に阻まれフライにされた。打席で彼は…うずくまって泣いた。いつもなら苦笑いしてベンチに戻って来ていただろうが、この日は立ち上がれないほど泣いていた。
最終回…同点のままかと思われたが、四番が意地の一発を魅せてくれた。あわやホームランかという当たりだった。繋いでくれ…という思いに応えて、セカンドのミラクルボーイがやってくれた。必死にボールを叩いて打った。ゴロだが打球に勢いがある。その間に四番が激走してホームイン…劇的なサヨナラ勝ちだった。
2試合目…全員野球で、打って守って、10対0 で勝利した。
そして、準々決勝…今だ勝ててないチームだ。好ゲームをするものの…引き分けてばかりだった。この日も投手戦。なかなか打てない。相手も打てない。0が並ぶ。最終回…試合を決めたのは…僕らのエラーだった。
これが、僕らの最終戦となった。これで終わった。僕たちらしい…終わり方で、…。
この1年間、全ての試合を全力で戦った。胸を張って言える。
打撃不振で悩んだ奴もいた。スタメン落ちして悔しい思いをした奴もいる。怒鳴られてばかりだった。
目標を失いかけた時があった。あと少しのところで勝利を逃した悔しさを知ったし、苦しい時こそ、共に泣き共に笑いあえる仲間がいる喜びも知った。勝てなかった相手に勝つ喜びを知った。諦めなければ…夢は叶う事を知った。…だから悔いはない。
優勝2回。準優勝3回。3位…3回。
55戦中…38勝11敗6分け
これが、この1年間の僕らの成績だ。
これが、僕らが残した、僕らの軌跡であり、小さな奇跡なんだ。そして、全力で闘った日々が、僕らにとっての『金メダル』なんだ。
そして、桜が舞う頃…また旅立つ。
いざ、◯中野球部へ!
 END

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