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絵本「菌たろう」誕生まで

「菌たろう」初期のラフが出てきたので、
絵本ができるまでのお話を書きたいと思います。


菌たろうの髪型、

最初は、画像左から2番目に並んでいる
毛量の多いおかっぱだったんです^^


さてさて、まずはじめに、
今回の絵本制作のご依頼は、
編集の月風灯舎さんを通していただきました。
月風灯舎さんとは、
私が作家デビューした当時(2010年)から
12年程のお付き合い。

料理人だった私の祖父が
生前作っていた食べ物を描いた
「ことことのにほひ」(2013年)という個展を
月風灯舎さんが見に来てくださっていたのですが、
「発酵食品の絵本を作りたい」、
というビュースパイアの三科さんから
ご相談があったことから、
私の食べ物の絵を思い出してくださり、
つなげてくださいました。

絵本のご依頼をいただいてから
納品の締切まで、およそ6か月という
スケジュールでした。

案を出して、お話をつめて、実際に絵にしていく、その全てをする期間が、6か月という限られた中で、他のお仕事をお断りして、こどもたちが休みの日は、主人にこどもたちをお任せして、完全に絵本作りのみに集中していました。かねてから、絵本を出していきたく、絵本を作ってはコンテストに出してきたので、絵本のお仕事は、何をおいても最優先にしたい、嬉しいお仕事でした!


私の絵本作りは、まず文字ベースから考えて、お話が固まってきたら、絵をつけていく、ということが多いです。


三科さんから、どんな絵本を作りたいか、詳しくお話を聞かせていただき、まずは、思いついたイメージを文字でザザッと書き起こしました。


打ち合わせのやり取りのほとんどは、メッセンジャーにて。月風灯舎さんと3人のグループラインで、毎日のように、アイディアを見てもらっては詰めていき、詰めていきはご確認いただき、を繰り返しました。


菌たろうのお話が出る前にも、何種類か案を出させていただき、最終的には、「菌ばあちゃん」と「菌たろう」という2案に絞り、「菌たろう」をお選びいただきました。

昔話の金太郎をパロディに、
「金」ではなく、「菌」と表記したら
キャッチーだと思ったのが
最初のきっかけでしたが、
いざ、お話に落とし込んでいくと、
相撲の稽古が、菌たちの働きに活かせるし、
「はっけ よい」が「はっこう よい(発酵良い)」と変化できる、
というように、
イメージがつながっていきました。

因みに、あっくんはサル、ひよりちゃんはクマのイメージです。


クライアントワークは、お医者さんが、患者さんに症状を聞くのと同様、どんなことを伝えていきたいか、ヒアリングを何度も何度も重ねます。イラストのお仕事の時も、グラフィックのお仕事の時も、勿論させてもらうことですが、絵本は文字も絵もあり、専門的なお話も絡んでいるので、このヒアリングの時間は丁寧に細かく時間をかけて聞かせていただきました。


お聞かせいただいた内容から、どう絵本に落とし込んでいくか、頭をグルグルフル回転させたり、発酵食品の本を読み漁ったりしながら、キーワードとなる言葉を羅列していきました。


そして、一旦、一つのストーリーを書いてみます。全て書ききってから、細かい部分を調整して、調整して、私の中でイメージをつけ、絵にまとめ上げていきます。


三科さんからご了承いただき、ある程度絵ができてから、監修の塚本先生、塚本先生が所属するシンバイオシスさんからも専門的な観点から、ご確認、をいただきます。


そして、絵本作りで最も大切な、こどもに楽しんでもらえるお話かどうかを、我が子であったり、我が子のお友達であったり、生の読者の声を、表情を、見させてもらって、更に詰めていきました。


制作の途中途中で、部屋の片隅に置かれているラフ画を見た息子たちが、「ププッ」と笑ったり、「すごーーい」と声をあげたり、「この部分読んで〜」と、何度も読み聞かせを要求してくれることが、一読者の反応を見ることができる好機であり、部屋で一人で作業している私にとって、背中を押してくれる、本当にありがたい存在でした!!


菌たろうが無事にこの世に生まれでてくるまでの道のりは、短い期間とは言え、長い長い、そしてジェットコースターのような道のりでしたが、菌たろうも、あっくんも、ひよりちゃんも、沢山の方の手に広まって、楽しんでいただいたり、喜んでいただけることが、最大の喜びです!

完成して、監修の塚本先生には
「顕微鏡でも見えない世界を可視化してくれた!今まで見えなかった世界を見えるような顕微鏡を開発したと同じこと!科学的にも偉大!」
とおっしゃっていただきました。

絵本を読んだ
こどもたち、大人たちから届く
絵本の感想や反応の数々を
嬉しくお聞きしながら、
絵本が完成してからも、
まだまだ続いていく
人と菌たろうの
関係性が嬉しくてなりません!

これからも、
長く読み継がれていく、菌たろうであって欲しいです!!

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