衆院選が決着 与党にとって厳しい国会運営に
先月の衆議院総選挙は自公過半数割れという厳しい結果となりました。来週には特別国会が開会しますが、少数与党として厳しい船出を迎えることになります。
首班指名は乗り切れても…
来週の首班指名選挙では野党が投票先の一本化に難航しているため、現職の石破茂首相が再任される可能性が高くなりました。しかし、国会運営の方は政権維持よりも困難になることが予想されます。
衆議院議長は引き続き与党が確保できる見込みです。国会の議長・副議長は、内閣総理大臣と同様に議員の中で過半数の票を得た人が選出される仕組みとなっています。与野党で事前協議が行われ、これまでの慣例通り、議長には第一党の自民党から額賀福志郎氏、副議長には第二党の立憲民主党から玄葉光一郎氏が選出される見込みとなりました。
一方で、予算委員長には立憲民主党から安住淳氏が就任する見込みとなりました。委員会審議における委員長の権限は強大です。予算委員長は予算審議の途中で特定のテーマで総理入りの集中審議を入れることができますし、予算案の採決を引き延ばすことが可能です。また、政治と金の問題などが浮上すれば、予算審議の最中であっても参考人招致や証人喚問を行うこともできます。
3月までに来年度予算案を可決できなかった場合、政府はほぼ全ての政策を実施することが困難になります。予算案を今年度中に可決させるためには、与党は野党が求める大幅な修正に応じることになる可能性もあります。このような状況では、与党が他の委員会を含めて議案の強行採決を行うことも当然できませんし、あらゆる政策の推進においてこれまで以上に野党への配慮が必要になることは間違いないでしょう。
安住淳氏はNHK記者から政治家に転身して10期連続小選挙区当選、かつてガソリン国会を主導して政権交代を実現し、民主党政権では財務大臣も経験し、野党に転じてからも長く国対委員長を務めてきた人物です。予算委員長の権限を濫用して予算審議を妨害すると世論の批判が立憲民主党に向かうことも考えられますが、百戦錬磨の安住氏は抜かりなく政府与党の弱みを突いてくるでしょう。少数与党となった石破茂政権が予算委員会を乗り切るのは至難の業と言っても過言ではありません。
超党派の議員連盟が存在価値を発揮する時
難しい国会運営の中で存在価値を発揮するのが、超党派の議員連盟です。与野党を超えて賛同者の多い政策であれば、議員連盟の後押しによって前に進めることができます。
私は、片目失明議員懇話会や地熱発電推進議員連盟、教育格差について考えるワーキングチームなどの超党派議員勉強会に参加しています。片目失明議員懇話会では、障害者手帳の取得要件緩和や義眼への保険適用拡大に向け、公明党の新代表となる斉藤鉄夫氏や立憲民主党の篠原孝氏などと共に取り組んできました。地熱発電推進議員連盟においても、「マグマプロジェクト」という勉強会を立ち上げ、与党のみならず立憲民主党や日本維新の会の議員にも参加いただいています。教育格差について考えるワーキングチームにも、左右の違いを超えて有志議員が集まっています。
日本を取り巻く安全保障・エネルギー環境は、今この瞬間にも厳しさを増しています。安定した電力供給の実現には、純国産の地熱発電を普及させることが不可欠です。内政においても、片目失明者や教育格差に取り残された子どもたちが、1日も早く私たちの政策を待っています。これらの政策は、政局の混乱に関係なく前に進めていかなければなりません。そのためにも、今後は超党派議連を今まで以上に活用していきたいと考えています。