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水を飲む

その日はどうも疲れ切っていた。


 理不尽に怒られた。

 水の量を間違えて不味いご飯が炊けた。

 大皿を落として割った。

 作った麻婆豆腐は洗剤の味がした。


こんな日は早く寝るに限る。

いつも通り、寝る前にコップ一杯の水を飲もうとした。

その瞬間、ふと手が止まり、驚愕した。

コップに並々注がれていたのは水ではなく洗剤だったのである。


そう、私は全く無意識でコップに洗剤を注いでいた。

もし、もしもである。

気づかずに飲んでしまっていたとしたら。

私は死んでいたかもしれない。



無意識は私を殺したかったのだろうか。

ともかく、私の図らざる自殺は無事未遂に終わったのである。




・・・・・・

まあ、実際は口に含んだ瞬間吐き出すから死なないだろうが。

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