見出し画像

"Apple"っぽい、の積み重ね

それって「っぽい」のか「っぽくない」のか?

デザイン用語でトーン&マナーという言葉があります。略して「トンマナ」と言われるものです。デザインのイメージに一貫性を持たせて、印象を揃える用語です。

例えば、「Apple Computer」。かつて、たくさんの美容室でカラーバリエーションが豊富な「iMac」が並んだことがあります。Googleで「iMac カラフル 昔」と検索すると画像がたくさん出てきます。それまで、コンピューターと言うと、Microsoftのwindows95といったイメージで、いわゆる高性能計算機という「機械」をイメージするものでした。そんな時代にAppleはシンプルで親しみやすく、未来的なイメージを持って、堅苦しいコンピューターを身近なファッションと言っても良いレベルに引き上げた製品を世に送り出し、一斉を風靡したといっても良いと思います。

そのApple、今でもデザインと先進性、シンプルで普遍的なものは一貫性を持っています。ロゴはリンゴが欠けたデザイン。余計なステッカーやシールはありません。箱もシンプル。パソコンの本体もシンプル。分かりやすい起動ボタンを押すと「Hello」と表示される。操作感や音、それらに一貫性があります。それがトンマナです。同じ性能、同じ機能だったとしても、この感じのために、高くてもお金を払おうと思う人は多いと思います。

このAppleの製品を開発する側の人の立場に立ってみると、その思考の根っこにあるのは、「っぽい」のか「っぽくない」のか。なのだと思います。例えば、パソコンを起動した時の音、「ボーン」というApple特有の音でさえも、「Appleっぽい」のか「Appleっぽくない」のか、計算されて作られていると思います。

マウスのデザインや取扱説明書など、微に入り細に入り、シンプルを貫かれていて、「パソコンって何か難しい」と思っていた人にも手に取ってもらえるようになりました。美容室にパソコンが並んだという現象は衝撃的だったかもしれません。ある意味、美容室と機械というのは真逆のようにも思われるものなのに、Appleのデザインでそれが受け入れられたのでした。

これは、Appleが徹底して、Appleっぽさを追求している「雑味の無さ」が成した技かもしれません。美容室は「美」を極める場所で、ハサミひとつ、櫛ひとつ見ても、こだわっていることで美容室の質の高さを伝えるところです。Appleの極められたデザインが美容師さんの「このパソコンなら置いてもインテリアとして綺麗」と判断されました。

その根本は「っぽい」か「っぽくない」かです。

「っぽさ」はこれまでの全てのイメージの蓄積で構築されます。あの時のこれはこうだった、だからこれはこんな風だ。という、ある意味、期待を裏切らないのがトンマナと言えます。一斉を風靡したAppleは毎年、新製品発表の際には、多くの記者が集まって、固唾を飲んで見守ります。それは、これまでの蓄積が成し得た「期待」です。

どんな商品やどんなサービスにも、それに相応しいトンマナがあります。また、自社の商品と向き合えば向き合う程、周りのトンマナはつい気になってしまい、時には真似してみたくなりますが、自分たちに合うトンマナを探し続けることが、他と差別化する一番の近道でしょう。

その商品は「っぽい」を貫いていますでしょうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?